トランプの世界

□八話
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痛い、痛い、熱い。
もうこの眼は開く事ないだろうな。

そう俺は思いながら後ろに倒れた。


「く…そっ!」


後ろを振り向くと黒いマントに身を包んだ
男か女かわかんないが人がたっていた。

そいつの手には小さなナイフがあった。
もちろん、俺の血がついた…。

こいつが…俺を斬った奴。


「誰だ!!」


親父の声が響いた。
多分俺が今後ろを振り向くと即切り殺されるだろう。
大体そう言うのはわかる。

睨んだまま黒マントを見ていると口元が笑っていた。


そして黒マントは俺の前から姿を消した。


それに驚いた後に後ろを振り向くと親父の前に黒マントがいた。


「親父ぃ!!」


親父が黒マントの腕を掴んで崖の方に倒れこんだ。
そしてそのまま二人とも姿を消した。


「親父・・・・・?」


声なんて返ってこない。
そりゃそうだ。

この高さから落ちたら生きているはず…

そう思い下を見ると血だらけの親父とそこに立っていた無傷の黒マントがいた。
ゾッとした。

俺は全速力で走った。


逃げなきゃ、逃げなきゃ


それしか考えれなかった。


大急ぎで走ったせいか道を意識して居なく、俺は小さな崖から落ちた。


「っ…!」


足がいたい。
動かない。

あぁ、もう終わった。

そう思った時黒マントが俺の上を通っていた。
どうやら俺に気づいていないらしい。

それがわかった途端俺は意識を手放した。















眼が覚めると俺はいつもの家にいた。
母さんやナズナが泣いていた。

あぁ…ここ、俺の家なんだ。

そう思ってようやく理解した。
誰かに俺は見つけてもらってこの家まで送ってもらったんだと。


「親父、は?」


聞きたくなかったけど、聞いてみた。
するとナズナは首をかしげた。


「"おやじ"って…だあれ?」

「え……?」


その言葉に俺は耳を疑った。
今のは…間違えか?


「ガゼル…?」

「母さん…ねえ、親父、は…」


「何言ってるの?
 お父さんはアンタが生まれてすぐに事故にあって死んだでしょ…」

「っ!!?」


そう言われ俺はすぐさま起き上がった。
写真を見るがそこには親父の姿はなかった。

なんで…どうして!?

親父が…俺の親父がいない・・・・・?

じゃあ、あの好きだった背中は誰のもの?
あの煙草の香りは誰のもの?

俺は……


バタンッ


「ガゼル!!?」

「お兄ちゃん!」


俺は、信じない!!


そう思って俺は家から離れた森の近くの小屋に足を運んだ。
そこのドアを思いっ切り蹴り俺はなかに入る。

相変わらずの火薬のにおい。

そんななかから俺は棚を開けた。


「あった・・・・・。」
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