トランプの世界

□十話
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時間が止まった気がした。

赤い液体が目にしっかりと焼き付いて
目の前の恨む人は俺をじっと見て

手には・・・肉を斬り裂いた感触が残っている。


「あ・・・。」

「アル!!」


ソフィアがアルの名を叫ぶ。
アルは切り裂かれた額の血が目に入らないように
片目だけを閉じアラフォードを見つめていた。

まっすぐと、なにかを訴えかけるように。


「・・・・・っ!」

「アラフォード。」


アラフォードの真面目で焦る顔に決闘と言われた日を思い出した。
そのときも最初の攻撃を受けた時、同じ顔をしていたのだ。

ふと笑いがこみあげてくる。


(今どんな顔をしているのだろう?)

(痛みに顔が引きつっているのかな?)

(あぁ、でも・・・





 笑って、いたいなあ・・・)


へらっと前と同じようにアルは笑った。


「ごめんな、置いてって。」

「っ!!」


アラフォードが目を丸くする。


「でも、な、アラフォード・・・」


くらくらする


「俺、本当は・・・」


お願いだよ、最後まで・・・言わせてくれ。







「本当に馬鹿だよね、君は。」







懐かしい声を耳にして俺は意識を手放した。
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