短編

□小さな王子のようなお姫様
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人の趣味を盗み取れるようになった僕をみんな嫌う。
化物でも見るかのような目で見る。


(怖い、嫌だよ…)


校舎の裏で僕は涙を流す。
もういない大事な友達を思いながら。


(なんで僕が生きてるの?)


内心そんなふうに思った。
そうだ、僕が生きてても意味ないじゃないか。

ぐっと拳に力を込めた時だった。


「みーつけた、瀬戸。」

「っ!!」


そう言って僕を見つけたのは赤い髪に赤い目の少女だった。

外見が異常で最初は省かれていたけど
彼女のコミュニケーション能力がすぐに挽回した。


「あ、ナツキ…」

「もう、探したんだよ?」

「な、なんのよう…?」


内心怖い。
だって思いがわかるんだ、嫌われてたら…

そう思った時だった。


「嫌われてると思ってるの?」

「――っ!?」


目を丸くしてナツキを見る。
するとナツキは優しく微笑んだ。


「大丈夫。
 僕は瀬戸を…幸助を嫌ったりなんかしないから。
 なんなら僕の胸にも聞いてみろよ!ほら!!」


そう言ってナツキは両手を広げた。
じっと耳を澄ませる。








『幸助――大好き』
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