短編

□プロポーズ
2ページ/3ページ

「1時40分か…」


流石に早すぎた、とベンチに座りながら思う。
化粧は薄めだが服装には気をつけた。
いつもは仕事でズボンだけど今回はスカート。
白のワンピースに紺色のパーカーを羽織る。


(どんな反応するかなーふふっ楽しみ)


ルンルン気分をしていると見かけない靴が自分の前で止まった。
上を見上げれば二人の男がいた。


「お姉さん一人?」

「いえ、人待ちです。」

「へーじゃあ今暇なんだ!」

「ま、まあ…?」


嫌な予感がする。
ナツキはそっと立ち上がって場所を移動しようと思ったが
シカマルが困るだろうからやめてその場に粘る。


「ねえ、じゃあ俺たちと遊ばない?」

「いえ、人を待ってるので…」

「良いじゃーん、どうせまだ来ないんでしょ?
 あっちでお茶でもして待とうよ」

「いや、ちょ」


腕を掴まれて無理やり立たされる。
「ナンパ」という言葉がナツキの頭によぎりサァーと血の気が引く。


―嫌だ、触られたくない。


「離して下さい!」

「つれないなー何もしないって!」

「そうそうお茶するだけ」


じたばたと暴れてみるが男の力の方が強く
自分の腕が痛くなるだけだった。
徐々に離れていくベンチに焦る。


「人を待ってるんです!
 離して!!」

「うるせぇなー」

「ひっ」


急に顔を近づけた男に後ずさるとドンッと背中に何かがぶつかる。

慌てて後ろを振り向こうとすると
自分の腕を掴んでいる男の腕を掴む人がいた。
ひそかに香る安心する匂いにほっとした。


「…何してんだよ。」
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ