短編

□おひめさま
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『マーサーキー』

「ん?」

『好きだよ、だからアイス買ってきてよ』

「だ、誰が買いに行くか ばーか」

こいつは名前。
恋人とかそういう関係ではない

一方的に俺が好意をもっているだけだ


『マサキに拒否権は無いんだよ』

「ある」

『無いってば』

「ある、ったらある」


見ての通り、名前は
我が儘で自己中で人使いが荒い。
自分が一番の女王様。


『…ばか』

スッと立ち上がり
名前はどこかへ行ってしまった

勿論追いかける



「はぁ…ッはあ…
どこ行きやがったんだよ…」

コツンッ

「ッてェ…!」

上から靴が落ちてきた。
俺は靴が落ちてきた方を見る

上には名前。
木に登っていたらしい


『あたしのこと、追いかけてきたの?』

「誰が追いかけるかよ、」

『ううん、あたしが心配だから追いかけてきたんだよね』

「ちが『マサキあたしのこと好きだもんね』…!」


驚いた。
俺が名前のこと好きなのバレていたのか

…いや、冗談かもしれない


『図星でしょう?』

「うわっ!!!?//////」


気付いたら名前は目の前にいて
俺の顔を覗き込んでいた


『ばればれ、だから』

「…う……/////」

『う、じゃない。
ほら、言ってみなさいよ

言いたいことは言葉にして言わないと分かんないよ?』


ギュッ、と唇を噛み締める


『言わないなら良いよ、別に』

「…き」

『聞こえるわけないじゃん』

「名前が好きだ…!/////」

『知ってる




あたしも


マサキが好きだよ』


ふわりと笑う君につられて
俺も笑った


ーーーーーーーーーーーーーーー


(アイスは?)
(自分で買えよ)
(やっぱり嫌い、マサキ)
(手握りながら言われても…)
(自惚れないで、
"繋いであげてる"んだから)
(はいはい)

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