ストゆり

□強制的に入部です
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 何事もなく入学式が終わり、ペリーヌは教室へ戻ってきた。
 教室は何となく緊張感というのだろうか、まだ互いに打ち解けて合えない感じだった。しかしそんなものはすぐに終わるものである。
 教室の扉が開いて先生がやってくる。
 挨拶から始まり先生の話、そして個人の紹介へと入って行った。

「おっ、いたゾペリーヌ」
「寄り道してる暇はないだろ」
 エイラとバルクホルンはペリーヌのいる教室を扉のガラス面から覗きこむように見ていた。二人はプリントを取りに行く最中だった。
「おまえ、これがしたくてプリント取りに行くと言っただろ」
「せいかーい」
「さ、もういいだろ行くぞ」
 そう言ってバルクホルンがスタスタと一人歩き出した。しかしエイラが付いてこないので振り返る。するとエイラはまだ教室を覗いていた。いい加減にしないと先生に見つかってしまう。
「おい、もういいだろエイラ」
「そ、そうダナ」
エイラの表情が少し赤いようにバルクホルンは感じた。
「ん?何だ熱でもあるのか?顔が赤いぞ」
「そ、そうか?いや可愛いなぁって」
「ペリーヌが、か?」
「そんなわけあるか」
これ聞いたら落ち込むだろうなペリーヌとバルクホルンは思った。
「じゃあ、私か?」
「冗談は休み休み言えよナ」
「エイラほどではないと思うがな、それで誰なんだ?」
 歩きながらバルクホルンは聞いた。
「ペリーヌの隣にいた子が可愛かったんダナ」
「そうか」
「それだけ」
「ああ、私は別に恋愛話を続けるつもりはないからな」
「全く、堅物だなバルクホルンは」
「文句言ってないで行くぞ、早くしないと怒られるぞ、ただでさおまえは宿題を忘れて怒られるの確定なんだから、少しは先生の機嫌を取っておいた方がいいぞ」
「あーそうだった」
 エイラはがっくりと肩を落としてトボトボと歩く。こんな調子のエイラを見るのは別に今に始まったことではないのでバルクホルンは気にしない。とはいえ宿題を学校に忘れたから夏休みやらなかったとは中々の猛者だとバルクホルンは何故か感心してしまうのだった。
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