ストゆり

□愛は甘辛に
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「将来のユメ?」
「はい、エイラさんやバルクホルンさんはどんな夢をお持ちなのかなって」
 サーニャはみんなの分の紅茶を注いだカップにスティックの砂糖を淹れながら二人に聞いていた。
「私はウィッチになりたい、こんなクラブにいると忘れがちだが、ここは魔法学校だ。自分の固有魔法を活かしてストライカーに乗るんだ」
「ウィッチって昔はネウロイと戦争をしていたんですよね」
「ああ、今ではスポーツ競技の一つになってしまったが、昔はネウロイと何十年も戦いをしていた。ウィッチ専用の軍隊があるのはその流れだろう」
 「ウィッチ」それは魔法が使える少女がストライカーユニットに乗り、空、地上で活躍する人のことである。軍隊もあり今では人命救助や娯楽で民衆を楽しませるスポーツとして幅広く知られている。ウィッチとして活躍する年数は少ないものの、その後もストライカーユニットの整備士やこの学校みたいな魔法学校の教師になったりと決してその時だけの職業ではないのだ。
「バルクホルンは軍隊に入りたいんダロ」
「ああ、ストライカーユニットに一番深く関われるからな」
「すごいですバルクホルンさん」
 サーニャが紅茶の入ったカップをバルクホルンのところに置きながら言った。
「とはいえ、難しい道だ、計画的に準備しないと入れない」
「バルクホルンさんならきっとできます」
「そうだな、信念を曲げないことだな」
 バルクホルンの夢は昔から変わっていなかった。小さいころからそう言っていたことをペリーヌは思い出した。
「エイラさんは?」
「ワタシか?決まってないなー」
「だと思いました」
 サーニャはエイラの前に紅茶を置く。
「でもサーニャちゃんと一緒にいたいな」
「無理です」
ペリーヌの前にカップを置きながらはっきりと言う。
「しょんぼりダナ」
「ところで……サーニャ」
「はい?」
「この紅茶甘すぎないか?どれくらい砂糖を入れたんだ?」
「えーと四つほど」
 何故そんなに入れたとペリーヌは聞きたかった。しかし自分の紅茶はそんなに甘くなくちょうどいい味だった。
「な、なあサーニャ……さん?」
「はい?」
 エイラがすごい顔をしかめている。こちらも甘いのだろうかとペリーヌは思った。
「すごいしょっぱいんダナ」
「え?砂糖入れましたよ」
 サーニャはそう言うが、エイラの表情はすごいしょっぱそうな顔をして水を求めている。
「おい、エイラ」
「……」
 何も言わずエイラはバルクホルンの方を向いた。
「お前、スティック砂糖の入った瓶の中に塩スティック入れていなかったか?」
 沈黙の数分間……。
「!」
 何かを思い出したようにエイラはペリーヌのカップを取って紅茶を口に含んだ。
「ちょっとエイラさん、それわたくしの紅茶」
「はぁ〜思い出した、昨日占いをやるのに塩が必要で使った後にそこにいれたんだ」
「それをサーニャが知らずに使ったというわけか、なんとも馬鹿げた話だ」
 そう言ってバルクホルンは紅茶を飲む。しかしこちらも甘すぎで表情が曇る。
「でもせっかくサーニャちゃんが淹れてくれた紅茶なんだ、全部飲む」
 そう言ってエイラは塩紅茶を飲む。
「あまり無理をなさらず」
 ペリーヌはそれだけ言った。エイラはサーニャのことになるとやけに真剣になることがここ数日で分かった。
 飲み終わるとエイラはガタッと顔をテーブルに伏せた。
「ハア、ペリーヌすまないが、水を持ってきてくれ」
 バルクホルンが呆れたようにため息をついてペリーヌに言った。
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