□孤独
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最近少しあたたかくなったものの、
今日もきっと寒いのだろう。と思ったら、
いつもより気温が高く、
折角持ってきた長袖のジャージは必要なくなってきてしまった。




赤司と付き合うようになってからだいぶんと嫌われ者に成り代わってしまったらしく
自分に話しかける人などほとんどいなかった。



普通に接してくれる子は桃井や、赤司のファンではない人だけだ。




「転校生を紹介する。」


担任がホームルームを始めるかと思いきや
どうやら転校生がいるらしい。


あまり期待せずに頬杖をついて教卓を眺める





「間宮 梓(まみや あずさ)だ。
間宮、簡単に自己紹介をしてくれ」




担任の隣に立っている転校生。


長くて綺麗な髪の毛。
色素が少し薄めなのか、光が当たると茶色っぽく見える。

茶色の瞳に長い睫、身長も中一にしてはある方で、だいたい160あるかないかだろうか。


そして、美人である。


誰もが目を見開き、転校生を見つめる。




「間宮 梓です。よろしくお願いします。」



軽く頭を下げる。




「じゃあ間宮、神木の隣に座れ。」



「はい。」




こちらに向かって歩いてくる彼女は
自分とは違って大人びていて同い年とは到底思えなかった。




「間宮さん、よろしくね。」



「こちらこそ、いろいろと迷惑をかけるかもしれないけどよろしくね。えっと・・・」



「あ、わたしは神木雅。雅って呼んでね。」



「うん。よろしくね、雅ちゃん。」




にこりと可憐に笑う彼女も
きっと明日には私とは目も合わせてくれないのだろう。


不安が芽生えたが、
もうその不快感も慣れてしまった。




ホームルームを終え、梓が声をかけてきた。




「雅ちゃん、あのね。」



「どうしたの?」



「教科書がないから見せてほしいんだけど・・・」


「ああ、いいよ!そっか、転向したばっかりだったから教科書とかないもんね」



「ありがとう、助かる。」



「どういたしまして。」



こうして授業はすべて梓と机をくっつけていて
たまに手紙のやり取りなんかもして、
やっと学生らしいことができて自然と笑みがこぼれた。



だが、そんな様子を快く思っていない人間が
このクラスにいるのだ。









 
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