□微かな光
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「間宮さん、だったわよね?」




あいの声だ。


足が竦む。




「うん、それで、話って?」



昼休みにでもなるとこの場所は人通りが少ない。
あのまま更衣室に居ればよかった。


後悔してももう遅いが、ここから出ていけば確実に鉢合わせしてしまう。


冷たくなった指先を握りしめて俯く。



「あなたの隣の席の神木さんっているでしょう?」



「ああ、それがどうかした?」




「あの子ね、私の彼氏をとったの。

ひどいでしょ?それで彼も人気があるんだけど
そのことを知ってみんな神木さんと関わらないようになったんだけど、
神木さん、被害者面してるの。
だから、間宮さんは転校生だから知らないと思って言ったんだけど・・・・」



あいの声が低く響く。

間宮さんは今どんな顔をしているのだろう。


彼女はわたしをどう思ったのだろう。


軽蔑しただろうか。


嘘の言葉でも間宮さんは転校生で
真実を知ることはできない。


だからあいの言うことを真に受けてしまうだろう。




「で?」



「え・・・・」




梓は顔をしかめる




「だからどうかしたの?」



「え・・・いや、だからあの子は私の彼を・・!」



「私は何も取られてないから関係ないわ。


また雅ちゃん本人から聞いてみる。


私転校生だから・・・・」




梓は怪しく笑みを浮かべてあいに顔を向けた




「その話が真実か、わからないからね?」




「・・・・本当よ。」




梓を軽く睨む




「大人数で一人を避けるなんて、

まるで小学生ね?


成長していないわよ。


それに、話をするだけなのに取り巻きがいるのだって。


だいたいわかるわ。

話は終りね?では失礼。」



長い黒髪をなびかせ更衣室に向かって廊下を歩いていく。




「・・・・間宮梓・・・!!」




顔をみなくても声色だけで判断できる。









「ふふ、痛い目に遭えばいいのよ。間宮さん。」






小さく囁いた言葉が廊下に響く。






後悔すればいいのよ。












    
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