あかいうた

□狙うものは突然に
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ピピピ。


5:30を告げる目覚ましが部屋にこだまする。

今日もすっきりと朝起きることができた。


最近は寝つきもいいのでなんだか肌の調子が良い。

今日はすこしだけお化粧していこうかな。


たかが中学生、されど中学生。


少しでも可愛く見せたがる年頃だ。

なんとこの学校は化粧は軽くなら許されている、
なんとありがたいことだ。

雅はすっぴんなので
気にすることはなかったが

今日は薄くチークをしていくことにした。



おは朝の今日のラッキーアイテムはチーク。


お。なんだか今日はいい日になりそうな気がする。


ポケットにチークを忍ばせた。

それから手早く用意を済ませ、お弁当を作る。


6:20、あと10分ほどで赤司が来る時間だ


マフラーをまいてチークを薄くつけた。

鏡をみると少し頬を染めた自分がいた。

可愛いとかそんなことは思わないけど
赤司が気付いてくれればいいな、と思った。


6:25、もうそろそろかと靴をはいて鞄を持つ。



「いってきます。」



静かな玄関には雅の声だけが響く、

ここだけはいつもと変わらない。


ドアを開け、外に出るとなんともう赤司が待っていた。

少し鼻が赤くなっているようだ。

いつから待っていたのだろう。


「お、おはようございます。」


赤司はこちらに気付くと少しだけ目を見開いて止まっていたが、すぐに微笑み、挨拶をした。


「おはよう、雅。」


「いつから待っていたんですか?」


「6時にはここにいたな。それがどうした?」


「え、それならインターホン鳴らしてくれればよかったのに・・・。
寒かったですよね?ごめんなさい。」


「いいよ、僕が好きで来ているんだから。」



「そうですか・・・。
あ、行きましょうか。朝練に遅れてしまいますよ!」


「ふふ、そんなに慌てなくても大丈夫だ。
昨日も言った通り、この時間は僕しかいないからな。」


「そうでしたね、慌てちゃってすみません。」



朝から笑顔になれたのは久しぶりで
雅はすごく嬉しかった。


いつもは一人で空を見上げるしかなかったけど

今日からは二人で空を見上げることができる。


いつもの道が、


いつもの風景が、


あたりまえのものが、特別なものになった。
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