あかいうた
□狙うものは突然に
1ページ/10ページ
ピピピ。
5:30を告げる目覚ましが部屋にこだまする。
今日もすっきりと朝起きることができた。
最近は寝つきもいいのでなんだか肌の調子が良い。
今日はすこしだけお化粧していこうかな。
たかが中学生、されど中学生。
少しでも可愛く見せたがる年頃だ。
なんとこの学校は化粧は軽くなら許されている、
なんとありがたいことだ。
雅はすっぴんなので
気にすることはなかったが
今日は薄くチークをしていくことにした。
おは朝の今日のラッキーアイテムはチーク。
お。なんだか今日はいい日になりそうな気がする。
ポケットにチークを忍ばせた。
それから手早く用意を済ませ、お弁当を作る。
6:20、あと10分ほどで赤司が来る時間だ
マフラーをまいてチークを薄くつけた。
鏡をみると少し頬を染めた自分がいた。
可愛いとかそんなことは思わないけど
赤司が気付いてくれればいいな、と思った。
6:25、もうそろそろかと靴をはいて鞄を持つ。
「いってきます。」
静かな玄関には雅の声だけが響く、
ここだけはいつもと変わらない。
ドアを開け、外に出るとなんともう赤司が待っていた。
少し鼻が赤くなっているようだ。
いつから待っていたのだろう。
「お、おはようございます。」
赤司はこちらに気付くと少しだけ目を見開いて止まっていたが、すぐに微笑み、挨拶をした。
「おはよう、雅。」
「いつから待っていたんですか?」
「6時にはここにいたな。それがどうした?」
「え、それならインターホン鳴らしてくれればよかったのに・・・。
寒かったですよね?ごめんなさい。」
「いいよ、僕が好きで来ているんだから。」
「そうですか・・・。
あ、行きましょうか。朝練に遅れてしまいますよ!」
「ふふ、そんなに慌てなくても大丈夫だ。
昨日も言った通り、この時間は僕しかいないからな。」
「そうでしたね、慌てちゃってすみません。」
朝から笑顔になれたのは久しぶりで
雅はすごく嬉しかった。
いつもは一人で空を見上げるしかなかったけど
今日からは二人で空を見上げることができる。
いつもの道が、
いつもの風景が、
あたりまえのものが、特別なものになった。