赤い枷
□第一夜
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「離して。」
僕を鋭く睨む
「どうしてだい。」
「あなたが嫌いだからよ。」
ああ、その口を塞いで
唾液を交換し合って
君が吐く二酸化炭素さえ
僕のものにできたら。
どれだけ・・・。
「乃愛。好きだ。」
そういって乃愛の両手首を壁に押さえつける
「離して。」
「僕を好きだと言ってくれるまで離さない。」
「毎日こうしてあしらっても、あなたはしつこいのね。征十郎くん。」
毎日放課後に彼はやってくる
私がどこに居ようとも、必ず。
「乃愛に名前を呼ばれるなんて、嬉しいよ。」
口角を少し上げ、笑う様子はとても怪しげで綺麗だった
「手を離して。さっきから手が痛いの。」
顔をしかめ、僕を睨む。
ああ、その顔だ。
この学校、いや。
他の誰もが僕に逆らわない。
なのにこの態度はなんだ?
君のような気の強くて強情な女を
自分の僕の様にできたら。
僕だけに従順な犬のようにできたら。
そこには何があるのだろう
初めはそんな好奇心からだった。