赤い枷

□第一夜
1ページ/3ページ







「離して。」








僕を鋭く睨む









「どうしてだい。」









「あなたが嫌いだからよ。」








ああ、その口を塞いで



唾液を交換し合って



君が吐く二酸化炭素さえ



僕のものにできたら。






どれだけ・・・。


















「乃愛。好きだ。」







そういって乃愛の両手首を壁に押さえつける







「離して。」






「僕を好きだと言ってくれるまで離さない。」






「毎日こうしてあしらっても、あなたはしつこいのね。征十郎くん。」







毎日放課後に彼はやってくる





私がどこに居ようとも、必ず。





「乃愛に名前を呼ばれるなんて、嬉しいよ。」





口角を少し上げ、笑う様子はとても怪しげで綺麗だった





「手を離して。さっきから手が痛いの。」






顔をしかめ、僕を睨む。





ああ、その顔だ。




この学校、いや。



他の誰もが僕に逆らわない。



なのにこの態度はなんだ?



君のような気の強くて強情な女を



自分の僕の様にできたら。

僕だけに従順な犬のようにできたら。





そこには何があるのだろう






初めはそんな好奇心からだった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ