赤い枷

□第四夜
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「・・・・きて。・・・おきて」




「ん・・・・」





自分を呼ぶ声で気が付いた

どうやら気を失っていたようだ。



そして体がとても気怠く、腰がズキズキと痛んだ。




「腰痛いかい?すごく気持ちよさそうな顔をしていたよ、乃愛」




「・・・してないっ・・・あっ・・・」




「どうしたんだい?」



嬉しそうに微笑む赤司を睨む乃愛だったが
秘部から垂れた白濁液が僅かに刺激を与えた



「溜まってたからね、濃いのがたくさん出たよ。」



口角をあげて笑う赤司




「・・・・ピルちょうだい・・・」




「どうしようかな。」




「だって子供ができたら・・・!」




赤司は一層嬉しそうに目を細める




「はは、だって君との子供ができたら」






乃愛は目を見開いた







「君を永遠に縛る鎖になるだろう・・・?」




「・・・・最低」




どうしてこの人はこんなに病んでしまっているのだろう。


考えたってわからないけれど。




「それじゃあ僕はそろそろ行こうかな」




「どこに・・・?」




「気になるかい?」




「別に・・・早く離して。」




「それはできないな、おとなしく待っているんだよ?乃愛?」




優しく頭を撫でられると目隠しをされる






「じゃあいってくるね。」




「ちょっと・・・!!」



乃愛の叫びも虚しく、扉の締まる音だけが部屋に響いた。



真っ暗な世界が広がる。

すこしひんやりとした部屋で

何も聞こえず、何も見えない



精神が少しずつ不安定になっていく。





「・・・・・」




寝ようとも考えたが、どうも寝られそうにもなかった。





ああ、帰りたい。


一体私が何をしたというのだろう。



考えても考えても答えは出てこない。




すると誰もいないはずの部屋から微かに音が聞こえてきた





クスクス





「・・・・だ・・・れ・・・?」





どうやらそれは笑い声のようで声の高さから子供らしい。




幽霊やお化けの類が大の苦手の乃愛には耐えることは容易ではなかった




「・・・こわいよ・・・っ・・」




涙が目隠しに滲んで黒い染みを作っていく。




キャハハ、



笑い声と部屋を駆け回る足音。



ああ、もう



頭がおかしくなってしまいそうだ。





「・・・う・・・せいじゅ・・ろ・・・っ」




涙が溢れ出す、そしてそこにいるはずのない人の名を呼んだ。



ここに来る人はあの人しかいないから。





「征十郎・・・っ・・・たすけてよっ・・・」




子どもの笑い声は次第に大きくなるばかりで、
涙は止まらず、足がガクガクと震えてきた。




「せいじゅ・・・ろ・・・うぅ・・っ」




「呼んだかい?」





どこからか、助けを求めていた人の声が聞こえる




「どこ・・・?ねえっ・・・こっちにきて・・・っ」




「どうしようかなあ。」




見えないが、意地悪く微笑んでいるのだろう。





「・・・お願いっ」




「ふふ、僕は君が好きだからね、助けてあげようか。」




足音が近づいてくる。




「はやく・・・っ・・ねえっ・・・!」




もはや精神状態はまともではなかった





乃愛。もっと。




「征十郎・・・っ」




もっと僕の名前を呼んで




「こわい・・・」




もっと僕を求めて。




君を助けられるのはこの僕だけなんだよ?







赤司は乃愛にそっと近づき、手足の枷を外す

目隠しはしたままだ。





「僕はここだよ?乃愛。」




乃愛は声が聞こえたほうに向いて


赤司の胸に飛び込んだ。




「どうしたんだい?さっきまであんなに僕を拒んでいたのに。」




「・・・・こわかった・・・っ」




強く抱きしめられ、赤司の胸は高鳴った




赤司もそっと抱きしめ返す。




「嬉しいよ、君が僕を求めてくれるなんて。」




宥めるように頭を撫でる





「いいかい、この目隠しはね、

僕にしか外せないんだ。だからね


僕の言うことを聞いてくれたら外してあげる


だけど聞かないと一生暗闇の世界のままだ。



まあ、それでも




僕が君の目になってあげるから問題ないけどね。」



突然耳元で囁かれ、背中がぞくりと震えた。





「わかったかい?」



「・・・・・」




「じゃあいいよ、少し出かけてくる」




赤司は乃愛を引きはがしてまたどこかに行こうとする




「・・・まって!」



「なんだい?」




「・・・・いか・・・ないで・・・」




服の袖を掴み、小さく呟いた





「ああ、いいよ。」




そう答えた赤司の顔はとても満足げだった













    
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