ろんぐ

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「メアちゃんを町の外から出そう作戦〜☆」


何日か前の宴を思い出させるワカメのネーミングセンスにやる気を奪われながらも、その場にいる全員は話に食い付いた。


「外から出す、ということは怖がらせないように接触をしなくてはいけないな」

「ペンペンの言うとおり♪でも、町に入ってしまったらアウトなんだよね〜」

「町に入らずに接触なんてどうやってやんだよ」

「シャチは頭をもう少し使ったら?」

「てめっ…」


ワカメの言葉の挑発に乗ったシャチは机から身を乗り出した。
今にも飛び掛ろうとするシャチをベポが押さえつける。


「この町における『メアちゃん』は昼の1時に町の入り口の前を絶対に通る。そこを使うんだ」


自信満々に人差し指を立てるワカメは更に言葉を紡ぎ続けた。


「昼の1時に通ったメアちゃんに、偶然を装って接触するんだ。此処のログは5日で溜まるらしいからなんとかしてそれまでに連れ出せる様にしたい」

「船長は無しだな。さっきの話を聞く分じゃもうすでに怖がられてるだろ」


冷静に分析するペンギンはクルーの面々に視線を向ける。


「シャチはどう?」

「ダメだ、シャチは演技が下手だからな」

「バンさんは?」

「バンダナも却下だ。あいつはセクハラをするに決まっている」

「うわっ、ひっでぇ。嫌、確かに表情豊かな嬢ちゃんっていつもより増して可愛いとは思うけどよぉ…」

「ほらな、この発言からして危ないだろ」

「ワカメは?」

「いや、こいつはマジでダメだ」


ベポの提案はことごとくペンギンによって却下されていく。
だが、ペンギンの憶測は間違ってはいない。


いきなり連れ出そうとしたローでは怖がれれてしまう。
演技が下手なシャチでは怪しまれてしまう。
この調子のバンダナではセクハラをはたらく可能性がある。
普段から苦手視されているワカメでは話にならない。

ベポもあまり演技が上手いほうではないし、そもそもシロクマだ。


適役が存在しない船の上。
それぞれは自らの頭を働かせ、考えた。


「ペンギンが適役なんじゃね?」


しばらくの静寂の後、シャチが声をあげた。


「ペンギンなら演技上手いし、紳士だし、メアが一番懐いてるしいいんじゃね?帽子取ればイケメンだし」

「お前の意見は最もだがイケメンは関係ないだろ」


シャチの憶測はさきほどのペンギンのように間違えていない。
ローでさえ適役だと感じるほどだった。


「それじゃあ決定だね♪」

「ちょっと待てっ…おれはやるなんて一言も…」

「やれ。船長命令だ」

「…はい…」



船長命令は絶対。

これはどこの海賊団でもそうだろう。
従うことしかできなくなったペンギンは素直に肯定の言葉を発した。


「じゃあペンペン、帽子取ろうねぇ〜」


ワカメはペンギンの帽子をとると宙に放った。
さらりと揺れた髪を見た瞬間、ワカメは声をあげる。


「あら、イケメン❤」

「気色悪いからやめてくれ」


右手で額を押さて俯いたペンギンは藍色の瞳を揺らして訴えた。


「スーツ着ようよ、スーツ!!」

「笑顔の練習もしようぜ!」

「わぁ、ペンギン似あうね」

「すっげぇ、これなら嬢ちゃんも揺らぐんじゃね…?」

「ふん、くだらねぇ」

「お前ら楽しんでるだろ!!」


全員の顔が興味でにやついていた。
くだらないと吐き捨てたローですらにやけているのだ。



メアを助けるべく、一日かけて作戦会議(という名のペンギンいじり)が行われたのだった。











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