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ざんざかと降り続ける水滴を鬱陶しそうに払い除けながらさらに右足を踏み込むと、でろでろの液状と化した深土が足元を汚す。

うへぇと思わず間抜けな声を上げれば目の前を歩く金髪の少女がじとりとした視線をこちらによこしてきた。

「まったく、あんたたちが遅いからこんなことになったんだからね...。

少しは反省してよ。」

「わ、悪かったって...。」

どうやら彼女はまだ今朝のことを引きずっているらしい。

彼らがやるべきことをやらず、出発時間が遅れたことによりこのようなスコールにあったのだから、当然の報いといえばそうなのだが...。

「なによナツ。
何か文句あんの。」

「ああ、大アリだ!

炎の出がちょー悪い!!!」

まったく空気を読まず、しょぼしょぼの弱い炎を吐き出す少年が一人。

無駄に元気なその声にグレイは思わず痛む頭を抑えた。

「だからそれはあんたたちのせいだっつってんでしょーが!!!」

「つってもさすがに天気は変えられねーよ!
俺神様じゃねーもん!!!」

「そういう問題じゃないっての!!!」

火に油を注ぐとはこのことか。

内心呟きながら、どうかこのとばっちりに巻き込まれませんようにとグレイは強く願う。

怒ったときのルーシィは、直結にいって、鬼ババのように怖い。

一度そのことを伝えたら消えないくらいのたんこぶを頭に作られたので二度と言わないが、
あれはエルザの次くらいに匹敵するほどの恐ろしさだ。

エルザもこういうときに限って無言で前を歩くものだがら、まったく頼りにならないし、
こんなときでもシャルルに愛をふりまくハッピーは論外である。

_どうしたものか.....。

自分が中断させてやるしかないのか、そうなのか。

考え始めた矢先のことであった。



「あ、みなさんあれです!」




先程まで必死に足に絡み付く泥と戦っていたウェンディが、嬉しそうに声を張り上げた。


彼女の藍色の瞳が写したのは小さな小さな赤レンガの村。



今回の依頼先だ。
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