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ズゥン、ズゥン
あまりの振動の大きさに、世界が揺れているようであった。
走りながら何度も跳び跳ねてしまうというどうしようもないもどかしさになかなか進むことができず、ナツはイライラと地団駄を踏みだす。
「っあーうぜぇ!!!
揺れすぎだし、歩くのおせぇし、
何なんだよ!!」
「仕方ないでしょ!!?ちょっとは落ち着きなさいよ!!
ここであの化け物を倒しちゃったら、また新しい化け物が出てくるまで待たなきゃいけないのよ!?」
先陣をきって化け物を追いかける彼は今にも炎を吐き出して化け物を攻撃しかねない様子で。
それをルーシィは汗ではりつく髪をどかしながら慌てて注意を促した。
もちろん彼もそこまでバカではなく、ぬぐぐと声を漏らすと、再び振動によって浮かび上がる体を戒める。
「くそ、
一刻も速くグレイのとこに行きたいってのに....!!!」
「それは皆同じだ。
だが今は追跡するしかなかろう。
評議院の判断が間違っている可能性だって少なくは無いのだからな。」
極めて冷静に呟くエルザに、ナツは再び苦い声を漏らした。
正論だ。
分かっている。
分かっている、が、この間にもグレイに何かあったらと考えると、
どうしようもなく体の底が疼くのだ。
急がなくてはいけない。
だが、急げない。
「あー!!!
やっぱ腹が立つ...!!!」
むしゃくしゃと、桜色の茂みを両手でかき混ぜたときだった。