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「よ、ようやくか....!!!」
正直言って助かった。
グレイはほっと安心したように一息つくと、未だ言い争いを続けている二人を背に残し、急いで門へと駆け寄る。
ぱしゃぱしゃと軽く跳ねる水の音が足元から響いたが、もう上から下までびしょびしょのデロデロになった今では気にもとまらなかった。
取りあえず村にいれてもらい、着替えをさせてもらうのが優先だ。
そう考えれば、いくら服が泥に濡れようが気にする必要はない。
「フェアリーテイルのものだ!
今回は依頼でこの村にきた。
誰かおらぬか!」
雨の日にも限らず凛と透き通るエルザの声は村中に響き渡る。
しかし、
なぜか村人は姿を表さない。
「??
おかしいですね....。」
「あー?なんだ?
どーかしたのか?」
先程まで耳を塞ぎたくなるような叫び声で口論を続けていたナツも、どうやらこの異変に気がついたのか、不思議そうにこちらの様子を伺ってくる。
「人がいないんだ。」
「人がいない?」
深刻そうに語るエルザの言葉にナツは一度、すん、と鼻をならすと
すぐに首を大きく横に振った。
「いや、すんげーヒトの匂いする。
何か一ヶ所に集まってたりするのか?
一気に匂いが鼻にきたぜ。」
ナツの言葉にあからさまに顔を歪めたエルザは遠慮なく門に手をかける。
大きいことに変わりはないが、それはあっさり、きぃ、と小さな音を立てて開いた。
「なんだよ、どうぞご勝手にってことか?」
「そのようだな。
ならば遠慮はいらないか。」
入ろう。
ぽつりと彼女が漏らした合図と共に、重たい湿った服を引きずりながら全員が門を潜る。
未だ顔にあたる雨粒は大きくて、
下を俯いて歩くことしかできないことに若干の腹立たしさを感じた。
「あそこからだ、
あそこからヒトの匂いがぷんぷんしやがる。」
どうやらナツも思っていることは同じらしい。
うだるような雨続きのせいで、いつもよりか若干言葉が乱暴なのがその証拠だ。
あそこ、と彼が指し示した指の先を視線でたどっていけば、村のなかでも特に高くそびえたっている白い塔の様な建物が目に写り混む。
あからさまな偉いひとが住んでいますよ感のその建物に、みなが一様に眉をひそめた。
「いいか、ナツ。
どんな腹が立つ依頼人でも、物を壊したり、怒鳴り散らしたりしないように。」
「わかってるっつの」
「グレイは今脱ぎ捨てた服を着ろ。」
「うおっ!!!?」
「ルーシィはなるべくドジを発動させるなよ。」
「それはどういう意味なのかしら!!!?」
「ウェンディ、は、問題ないか。」
「はいっ」
「ハッピーとシャルルはなるべく住民を下手に驚かせないよう飛ばないように気を付けてくれ。」
「あいさー!」
「わかったわ。」
もうお決まりとなっている一連の確認作業をひとしきりおえると、
エルザは覚悟したように扉に手をかけた。
「よし、今回も気をいれていくぞ。」