short

□想い石、想い人。A
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「結局なんだったんだありゃぁ....」
ギルド内、昼にて、
黒髪を無造作に伸ばした青年は軽い溜め息をつくとローテーブルに肘をつき、酒の入ったコップを口内に傾けた。
そして脳内はムービー再生をするかのごとく、先程、嵐のように駆けつけてきた仲間たちの姿を思い浮かべる。

どかどかとマンモス顔負けの足音を踏み鳴らしてきた桜色とその後ろを大股でついてくるタレ目の男。空色の頭をした小柄な女とがたいのいい女戦士。これからパーティーでも組んで何処かへ冒険でもいくのかと問い掛けたくなるような雰囲気でギルド内を歩き回る四人組に酒を吹き飛ばしそうになったのはいうまでもないであろう。
そしてあろうことかその軍団は椅子に腰かける自分に目をつけてきたのだ。
「お!!ガジルがいんじゃねぇか!!!
おいタレ目!!あいつにも聞こうぜ!!!」
「んなこと言われなくてもそのつもりだツリ目。」
「あ、ガジルだ!!!おーいっ」
徐々に近寄ってくる軍団に知らん顔をできたらどれだけ気が楽だったろうか。列の最前線でにらみ合いを続ける男二人をシカトするのはまだしも、こちらに愛想溢れる笑顔で手を降ってくる彼女を無視するということはさすがの彼もほんのわずかな良心が痛んだわけで。
仕方なしにその手を振り替えしてやると、それだけでレヴィは嬉しそうに顔を綻ばせた。
ガジルはそれを見て自分の表情筋がひきつっていく感覚を覚える。
はっきりいって、彼はああいう真っ直ぐなタイプの人間は結構苦手だったりする。それは自分の黒さを実感させられるという意味でもあり、決して彼女自信を嫌っているわけではないのだが....

「おい、何ぼーっとしてんだよ....?」
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