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「いやーんっもう!
森ってなんでこんな歩きにくいのかしら!!?」
「ルーシィの体重がすごいから、よけいに足が埋まっちゃうんじゃない?」
「うっさいこのバカネコ!!!!」
ルーシィはずぼずぼと足の抜き差しを繰り返しながら、ナツの肩を占領する小さな青い猫に食って掛かった。
しかし、当の本人は
うわぁ〜怖い。とバカにしたように口許を抑えている。
うわ、ムカつく。
殴ってやろうかしら、こいつ。
と、力強く右手を固めたときだった。
ふと、ルーシィの視線が先程からだんまりを続けるナツの表情をかすめる。
そのブスくれたような、いや、怒っているような....?
どちらにしろ不機嫌極まりないその顔つきに、思わず彼女の口からはため息が漏れでた。
「ねー、あんたさ。
何でそんな不機嫌なわけよ?」
「うっせー。
何でルーシィと強制にペアにされなきゃなんねーんだよって思ってたところだ。」
「え、何、あんた私に喧嘩うってんの?」
猫よりまずこっちから殴った方がいいのかしら?
右手と左手、どちらで攻撃してやろうかと悩み始めたころで、ハッピーが可笑しくて堪らないといった様子でぷすりと笑った。
「ナツはねぇー、グレイとなりたかったんだよねぇー?」
「おい、ハッピーうっせぇぞ!!!」
「え?グレイ?」
何で?
大量のクエスチョンマークがルーシィの頭上を飛び交う。
思わず腕を組んで首を傾げれば、睨むようなナツの視線とかち合った。
よくみると、ぼそぼそと呟くように唇を動かしている。
「だってよ....
あいつ、何か最近体調悪そうにしてたからよ.....」
心配で。
その一言に驚いたようにルーシィは大きく目を見開いた。
ルーシィ間抜け面ぁと喜ぶ猫は後程殴るとして、今、ナツは心配しているといったのだろうか。
あの顔を会わせれば、喧嘩しかしないような相手に。
「なんだよ、その顔。」
「い、いやぁ〜、
あんたたちが仲良いのはわかってたけど、ナツも心配なんてするのねーって....。」
「お前俺を何と思ってんだ。
そりゃ、好きなやつが気分わるそーにしてたら誰だって_」
「はい。
待って、ちょい、ストップ。
うん。」
慌てたように人差し指を突きつけるルーシィにより、おしゃべりな彼の大きな口がぱたりと閉じられる。