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#7

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私は人に愛されませんでした。



父は私を殴ります。

母は私を叱ります。

ご近所さんはそれをみて可哀想だと同情ばかり。

助けてくれなどしてくれません。


お手伝いを欠かさずしても、

誉めてくれる人はいません。

抱き締めてくれる暖かさもありません。


どうして私はいきているんでしょう。

落とした皿が足元で割れました。

どかどかと荒い足音が近づきます。



ああ、また今日も家を追い出されました。

もうこんなことにも慣れっこです。

涙さえ流れません。




一人、一人。

私は一人。






莫大な魔力は時として人を救う。

でも私に残されたのは拒絶のみ。


パパ、ねぇ、パパはどこ?


私に魔力をくれた父はどこなの?


この気持ちを分からない母さんなんていらない。

偽物の父さんなんていらないの。



私の気持ちを理解してくれる

たった一人の死に別れた父親。








枯れたはずの滴が頬を濡らしたとき、

私の足下を赤茶色の犬が通りすぎました。


少し汚れて足を引きずったその子犬は、

とても綺麗な瞳をしていました。

私と同じ、まっ黒い瞳。



そう、お前も一人なの.....。




ポケットに忍ばせた、
今日の私を繋ぐ、ひとかけらのパン。

こんなに傷ついてるの。

少しくらい分けてあげたってかまわないでしょ?


小さいパンをさらに半分に分けて口許へもっていくと、
ハグハグと一生懸命に口を動かす小さな子犬。


お腹がすいているのね、かわいそうに。

そっとその毛並みに手を這わせた時だった。



「おい、何をしている!」





鋭く、きつい、
男の声。

ちがうわ、この人はパパなんかじゃないの。

バシリと今日も頬を貼られる。

腫れた頬はいつからもとの大きさに戻らなくなったのだろう。

目の端では子犬が怯えたような瞳をして私を見てた。


ああ、ごめんね、怖がらせちゃったね。


はくはくと口を動かして伝えようとするけど、

もう、


限界。







私はゆっくりと、意識を手放しました。





ああ、人間って、残酷ね。








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