イナGO

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白竜、どこ行くの?
夜、布団の中で微睡んでいた私は、聞きなれない堅苦しい言葉を外から聞いた。
声によれば白竜はフィフスセクターに入団するらしい。

白竜の両親が、お願いしますと言う声。
私は慌てて布団から出た。
置いてかれてしまう
嫌だ。
パジャマのまま階段を掛け降りた。
もう親が起きる心配も頭には無かった。
お父さんの黒いコートを来て、お気に入りのスパイクを履いてそっと玄関を抜ける。
荷物を入れる為に開けられた車のトランクに飛び込んだ。
真っ暗な中で私の姿は誰の目にも写らなかった。

「小春の分も頑張りなさいよ」
私の分…白竜のお母さんが声をかけるのを聞いた。

いよいよ出発するらしい。
気持ちばかりの荷物がトランクに投げ込まれ、閉じられた。

エンジン音と心地よい揺れに眠っていた私は、突然襲い来る眩しさに目を開けた。
何かのアニメのエージェントのような格好の男が白竜に話すのが見えた。
「あの船だ。」
開けられたトランクからするり抜け出し、男の言う「あの船」というものをみた。
走るには邪魔でしかない上着を脱ぎ捨て、乗船するらしい同い年ぐらいの子達に混じって駆け込み乗船した。

皆フィフスセクターに選ばれた才能のある子。
それでも何とも言えない頼りなさを醸し出していた。
「遅れるな!これが今日の最終便だ!」
船員らしき人が叫ぶ声。
ぎゅうぎゅう詰めになって船に乗り込む。
そんな中でも私は白竜を視界に捕らえていた。

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