イナGO

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消毒液臭い布団上で目が覚めた。
腰から下が痺れてる。
感覚がはっきりしている聴覚は、喚き散らし帰りたくないと叫ぶ悲鳴のような声を受け入れた。
まだ頭も視界もぼんやりしていて、自分が何をするべきか分からない。

ベッドの周りを囲むカーテンがシャッと引かれる音がして、そっちに注意が引き付けられた。
「小春、なぜ来たんだ」
聞き覚えのある声だった。
「女の子だからって置いていかれるのは嫌よ、白竜。」
「いやな予感がしてた。だから来てほしく無かったんだ」
白竜にフィフスセクターへの入団の話が来たとき、実は私にも来るはずだった。
ただ女の子だってだけで組織側が入団の話を出し渋った。
実際は出されたものの、再度検討した後決定を出すとの話、きっとその決定を待っても入団できなかったと思う。
私だって白竜と同じだけの実力があるのに、置いていかれるのは嫌だった。

「私は白竜のライバルだった?」
頷く白竜。
「だから来たのよ」
「でもおまえの足は」
私が横になるベッドに白竜を座らせて、真っ白な手を握った。

「ねぇ、今もライバルかな?」

動かないと確信した脚で、これさえ聞けたら強制的に帰されてもいいと思った。
もともと私は招かれていない。
意識を失っている間に帰されていてもおかしくなかったのだから、聞くチャンスを与えられたと思った。

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