イナGO

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ため息が漏れた。
ここ最近、白竜が罪の意識に苛まれているらしいことには薄々気が付いていた。
いったい何がそうさせているのだろうか?
冷たい大理石でできた床を私の車椅子はきゅるりと音を立てて進んで行った。


「以上だ。質問はまとめた物を提出すること」
大した内容で無かったけどマッサージはやってあげたいかもしれない
「小春、小春」
振り返って驚いた。
「久しぶりだね。うん美少女になったじゃないか!」
私が白竜の専属マネージャーになってすぐの頃お世話になった先生がそこにいた
「ありがとうございます。先生もお元気そうで何よりです」
「堅いなぁ、私には昔みたいにしてくれてかまわないよ」
「なんか久しぶりだったからつい」
笑いあう。そんなことを許されている私は幸せなのかもしれない
「勉強苦手だったけど今はどう?」
「今もちょっと、いやだいぶダメ」
「相変わらず白竜と賑やかに勉強してるのか?」
思わず作り笑いをしてしまった。
最近は訓練場の雰囲気に染められてかあまり楽しげに話したり、笑ったりしなくなった
苦笑や、前は見なかった嘲笑は逆によくみるようになっている。
私はこんなに楽しく笑うのにね

「みんな大人になっていってしまうんだ」
ストレートの髪を耳にかけて大人の女性らしいその唇が呟いた。
「私も?」
先生は美しい顔立ちに老齢の兆しを醸す
「ああ小春も、それに比べて私は歳とっていくんだ」
先生を自分の将来の姿に重ねた
とても合わさらなかった。

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