イナGO

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「先生に会ったのか」
まぁね
「運いいから」
とても短い休憩時間に話したのは先生のことだった
「俺は会いたくない」
そう言うと思ってたよ。
自分の変化をわからないわけないものね

暗くなる私に白竜は気を聞かせてか話しだす。
「先生は小鳩が、その…」
詰まるとくすぐったそうに身動ぎして
「び、美少女に…なったって言ったんだろ」
と赤くなる。
「うん」
「俺も…そう思う」
言うと同時に耳まで赤く染まった白竜は、空のボトルをこちらに投げてよこして訓練に戻ってしまう
隠したつもりでいたらしいが、後々白竜のその態度は冷やかしの材料として大いに活躍していた。


「白竜スキなんでしょ?」
たまたま私が1人だったのをいいことに周りを訓練生に囲まれた。
面倒だ。
もちろん自分より年上、所謂先輩って奴もいる。
つまりはそれなりの対応をとるのが1番妥当な逃げ口だということをさしていた。
「ええ、幼なじみ同士の恋愛なんて、ドラマのようですけど」
目を細めて口の端を少し持ち上げる。
笑顔の完成
「おまえも大変だな」
白竜の方が大変よ
「あんな頑なな奴のマネージャーで、」
「それはどうかしら?」
少なくとも貴方たちのマネージャーになるよりもきっと楽よ
「失礼、私も忙しいので。」
手をひらひらと振って退いてほしいと伝えた


「相変わらず冷たい態度だね」
私はだだっ広い廊下で車椅子を止めた。
「シュウ、見てたの?」
「うん」
「白竜の様子を見にきたんじゃないの?」
「そうだけどさ、君も気になるんだ。だってさ君は面白いものを連れてるから」
もしかして
「足のこと?」
シュウは幽霊ってやつで、悪霊や悪いものを引き寄せてしまうと聞いていた。
彼の運んでくる空気が見えないもの特有の霊気と言うものだろうか、おどろおどろしいものへ変わったが、たいして何も思わなかった。
「君の身体。ほしいぐらいのものだよ」
「あら、こんな身体でいいなら私の役目が終わった時にでもあげるわ」
「君は僕が実体化するための材料になるっていうんだね?いいのかい?もしかしたら」
車椅子を進める
「死神かもしれないとしてもいいわ。私の役目が終わるのは白竜に会えなくなった時のことだもの」
そう、私は白竜を強くする者であり、守るのが役目。
それがもしも今日で終わってしまってもよかった。
シュウが私の身体を媒体に実体化して白竜の傍に居てくれるから
「悪霊とか死神は嘘つかないんだって言ってたじゃない。」
くすくす
心地よい響きを後にした。

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