イナGO

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暴れられるほど自由の無い私は濡れたままベッドに寝かされる。
「濡れちゃうよ」
「かまわないさ」
大した膨らみの無い身体などまさぐったところで何も得られないというのに
「焦ってる?」
何をそんなに焦るのか、私には知らされていない多くのことがあるのだろうがそれにしたって妙だ。
気が付くまでの時間は用意されていなかった。
焦りの原因を連れてきてしまうことになろうなどとは知りもせずに、私は放送に呼び出された。
『ファーストランクチーム所属マネージャー小春、至急訓練生ゲートへ来い』


この時期に新しい訓練生は珍しい。
相当実力があるか、または才能を期待された、はたまた何かしら使い道がある捨て駒の類だろう。
大方見当を付けて会った新入生は同い年だというのにどこか恐ろしく強い思いの塊だった。
これは考えていたどれにも当て填まらない。
底知れぬ闇。
「剣城京介だ。今日からファーストランクの訓練生になる」
剣城京介は監査員の紹介で深く頭を下げた。
さすがシード候補生ね、よくできてる。
ファーストランクチームのメンバーが一癖も二癖もある者ばかりだからなのか、決まり切ったその行動の全てがとても特徴の無い無機質な感覚を覚えた。
「京介くんね、了解。私はファーストランクチームのマネージャー小春よ」
挨拶はこのぐらいにして、察してもらえると思うけど私は風呂上がりなの。
「つまりは君と友好関係を築いてる暇なんて無いのよ」
「小春、お前にはこいつがここの訓練生として生活できる最低限のことを教える義務があるはずだが?」
「明日でもいいわよね?」
監査員の言うことなんて聞く必要はない。
私のバックにはここゴッドエデンの最高責任者であり、教官の牙山がいる。

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