イナGO

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剣城と1週間寝食を共にしろ
いくら牙山の命令でもこれは承諾しかねた。
「できないのならばいいだろう。」
私は白竜の専属のマネージャーだと言いたい。
だが、ここが堪えどころなのだろうか
「いえ、専用の部屋を割り当ててもらえるなら」
普通ならばただの小学生である私が大人を前にしてできる攻撃は、生意気な態度をとることだ。
「、相変わらず生意気だな」
牙小春山が面白そうに笑った。

こうして1週間の京介くんとの生活が始まった。
こうなることを白竜は人間の第六感といった類のもので感じていたのだろうか?
それならば安心して欲しい。
少なくとも私は京介くんと何か、やましいことをするわけではないのだから。
「今日から1週間、ここに慣れるために私と過ごしてほしい。」
とかいっても1週間以内の脱落者はあとを絶たない。
「よろしくお願いします小春さん」
また無機質だ。
「私には普通にタメで、あと小春でいいわ」
牙山から渡された資料では同い年。
それからとっても優遇された身であった。
「わかった。」
「知ってる?あなた特別なのよ」
なぜいきなりファーストランクチームに入れたのかは不明だった。
普通ならば候補生として訓練を受けてから来る。
「白竜の時と同じ。」
だから私を付けたのかしら
「いきなりファーストランクチームに入れるのには驚いた」
低い声。
大人びた容姿。
強い決意。
なにもかも白竜と似ていた。
「多分あなたはとっても辛い思いをするわ」
それでも頑張って耐えるのよ
耐えたらきっと誰よりも強くなる。
自分の力を持て余してる白竜の良きライバルになってくれるはず。
「耐えぬくことを期待してるわ」


白竜の元に早く戻りたかった。
朝になればマネージャーとして会うことは叶うが、寝食を共にはできない。
いつもならのびのび寝るベッドも、伸ばした手を取る白竜の手もない。
それが寂しくて
「寂しいなんて傲慢かしら?」
1人1つ呟いたのを聞かれているのにも気が付かず身を縮めた。

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