イナGO

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いつも通り起きたのに頭が痛くて痛くて泣きそうになった。
思わず米噛みを押さえて呻く。
「小春大丈夫か?」
違う。
いつも通りなんて無かった。
「ええ、あなたに心配されるほどではないわ」
強がってばっかり。
いつも甘えなようにしていたのに、知らず知らずのうちに誰よりも白竜に甘えていた。
「見るからに顔色悪いぞ」
うん
視界が歪んでゆく、今ならなにがあっても驚けない。
それどころかひゃりとするモノが額に当てられて気持ちいいとさえ思った。


「いつから使えなくなったのだ?小春よ」
いつだか見た真っ白な天井。
隣には牙山。
「捨てる?」
そしたらシュウが迎えに来てくれるわ。約束だもの
「いや、まだだ。」
「そう。京介くんが運んでくれたのね」
「関心があるか」
彼のことが気になるの。
当たり前
「白竜のライバルにする予定だもの」
「フィフスセクターの為にか」
「いいえ、白竜の為に」
そして私の為に


微熱であったが、久しぶりであったために1日休暇をとるという大事になってしまった。
まだ医務室すら教えていなかった京介くんには悪いことをした。
考えごとをしているうちに広い廊下に出た。
車輪が軽くなり、車椅子が漕ぎもしないのにスーと滑って行く。
「小春」
不意に上から声をかけられる。
シュウだ。
「そろそろ?」
「まだよ」
残念っ
「ライバル作りしなくちゃなの」
「そっか、」
シュウの気配が消え、車椅子も滑るのを止めた。

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