イナGO

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「牙山から聞いた。」
白竜はひどく不機嫌だった。
それもそのはず、シェアした相手が白竜ではなく他の男の子であるのだ。
「なぜ承諾した」
「白竜のライバルを作り上げたかったの」
いつもそうだ。
目を伏せて、それから眉間に皺を寄せる。
これは自分を落ち着かせる時にする表情。
「俺の為だというのか?」
バカだと言うなり車輪手前のストッパーを両側とも外してしまう。
「なんでも1人でやるな、甘えろ」
確か次はファーストランク生の練習試合を見にくるのだったな
車椅子を押しながら言う白竜は落ち着きを戻していた。
「今はその新人もいないことだし、多少の甘えぐらい誰も小春を責めやしない。もっとも俺がさせないが…」
「別に甘えてないわけじゃないよ」
たくさん甘えてたよ
だからここから数日、京介くんの基礎を自力で作ってみせるから


見栄を張ったものの、京介くんとはお互いの距離を計りかねていた。
「えっと、」
だけど会ったら最初に言わなければならないことがある。
「ありがとう。その、運んでくれて」
「いや、俺よりも教官に礼を」
よくわからない。
「緊急呼び出しボタンがついていたからそれを押しただけだ。運べなかった」
悔しそうに手を握り締めた。
「じゃあ言い方かえる。教官呼んでくれてありがとう。」

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