イナGO

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畳んだユニホームを配り終えて部屋に戻る。
「寝てる?」
京介くんは早くもベッドにダイブしていた。
1週間ほど一緒過ごし見慣れた光景。
気絶しているかの様に寝ている京介くん。
長袖の指定パジャマの下はどれだけ痣があるの?擦り傷を作ったの?
限界まで体をいじめて他に考える隙をつくらせない。
確実で効率のよい洗脳。
フィフスセクターの矛盾すら誰も気付かない。
「強くなれた?」
私のしてあげたことなにかあったかしら

「兄さん…」
京介くんの寝言は決まってこれ
「ごめんなさい」
どうしてこの寝言を言うのか、結局聞けなかった。
「明日、私はまた白竜の元に戻るね」
そうそう、前にして言うの恥ずかしいから今言うね。
「車椅子の生活の難しさを知ってる人でよかったよ」

ありがとう

布団をかけて離れる。
「ありがとう」
「?」
「小春に会えてよかった。」
「京介くん?」
「兄さんと同じ姿の小春がマネージャーだから…」
俺を含めて多くの者が強くなろうと思えるのだろうな
「お兄さんと同じ?」
「周りの背中を押すのが上手い。」
「マネージャーだったの?」
「才能ある選手だった。俺が全て奪ってしまった。」
「そう。取り戻すために強くなるのね。」
取り戻しなさい。

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