イナGO

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「牙山、やめさせて!」
私の想像を遥かに越えていた。
ロボットと対峙させられた訓練生達は仲間の悲惨な退場の仕方に恐怖してる。
もう誰もボールに触れようとしない。
「これが正しい篩のかけ方だ。よく覚えておくのだ小春」
監視室から共に様子を見る牙山は満足気に髪を整えた

一定時間ボールをキープした者だけがここから出してもらえるなんて…
「白竜…京介くん…みんな」

また一人、狂ったようにボールを蹴った。
「ウオオオ!!」
叫び声と共に蹴りだされたそれは私の知る少年のキック力では無かった。
その少年だって、私がケアしてきた大切な選手の1人
そんな苦し紛れのボールをも簡単に止めてしまったロボットに、ボールを当てられて吹き飛ばされると床に倒れた。
バギッ
少年の骨が折れる音。
何度聞いても牙山、貴方みたいには笑えない。
牙山を睨んで画面から顔を反らした。

「教官!この訓練は中止すべきだ!これでは2度とサッカーができなくなる者が続出だ!」
スピーカーから京介くんの叫びが聞こえる
あなたはまだ大丈夫なのね。
洗脳されてないのね。

「おお白竜がくるか」
画面に映る白竜は楽しげに笑っていた。
「変わってしまったね」
私は目を伏せて涙を落として呟く。

腰抜けどもは見てろ!
「さぁ!行くぞ!」
白竜がドリブルで攻め始めた
次々ロボットをよける。

「全ての質力を最大にあげろ」
牙山が博士に言う
「良いのですか?」
良くないよ…!!
「白竜だからだ。なぁ、小春はわかるだろうよ」
本当はわからないけど頷く。
ごめんね白竜。

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