イナGO

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マネージャー室に入ると、生暖かい空気に包まれた
「シュウ」
「やあ、久しぶり。」
「今までどこ行ってたの?」
「小春自身、探してくれてもないくせにさすがだよね」
「私が忙しいことぐらいよく知ってるでしょ。」
「そうだよね。僕としたことが、てっきりお役御免になって島から出されたのかとばかり」
シュウとの会話はくだらないものばかりのはずであるのに、何かを予兆するものが多い。
「やっぱり私は不要になるのかしら」
「さあ?」
それは
「小春がよく知ってるはずだよ」
ひんやり冷たい空気が辺りに戻ってきた


「明日だな」
何時もどおり。
なにも変わらない返事をする
「そうね」
ベッドに座った白竜の隣まで車椅子を進める
「俺は代表になる」
「京介くんを差し置いて?」
脇を支えられ、ベッドに移動する
「ああ。俺を誰だと思っている?」
「白竜」
なんだか珍しく、白竜の表情が歪んだ

「このプロジェクトチームの代表にならなければ、小春の足を治してやることができないんだ」
白竜も京介くんも、目指すところは同じだったの?
「知らなかった」

白竜の手を取った。
「誓って、私の足を治すって」
「小春…」
私はこの誓いが守られないことを知っている。
だから、誓って欲しい。

「誓おう。」
抱き抱えられて星空の下、ベランダに出た
起きっぱなしのガーデンチェアに座らされた。
「ずいぶんロマンチックな誓いになりそうね」
「だといいが」

瞬きをしない瞳に吸い寄せられるように、私も瞳を閉じることはない。
「小春を一生支える者になることを誓います」
白竜の前置きのない誓い。
前置きがあれだったと言われればそうだったとも言え無くはない。

「結婚式の誓いみたいね」
出てきた言葉はそんなもの

左手をとられて薬指にどこから出したのか冷たい光沢が飾られた
「白銀」
「婚約指輪は古代、結婚指輪より重要視されていたらしい。」

「プロポーズ?」
少年少女の戯言ではない
「俺と結婚してくれ」

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