イナGO

□20
1ページ/1ページ


白繋いだ竜の手を解いて左頬にキスをした
いまさら知る。
男の子の方が成長が遅いって言うけど、白竜もそうだったなんて。
顔の左が本音の顔。
幼さが目立つのは寝顔だから?

それも、見るのは最初で最後。

「バイバイ」
「小春…」
寝言に驚いて、私を呼ぶ声を聞けたのが嬉しくて、涙がでた
涙を残して行かないようにそっと拭き取って部屋を後にする。


「どうだ?今の気分は」
「最悪ね」
牙山は私の肩を私の知らない優しい手で叩いた。
「お前の今後はフィフスセクターが保障する」
「それは当たり前よ」
最後の最後まで生意気か
「小春、私にはお前を手放すのがおしい」
「矛盾ね」
「そうだ」


潮の香りのフェリーは鼻に痛かった
「シュウ。いいわよ」
「待ちくたびれたよ小春」
「ごめんね」
「言い訳は後でゆっくり。」
行きと同じ。
けたたましいサイレン音
違うのは爆発音があることだけ。

「小春の生命力。確かにもらったよ」

目を開けて自分が海の底に沈んでゆくのを確認した。

感覚が消える
これはいつの話?
私は白竜を救えたのかしら?
もしかしてゴッドエデンに私はたどり着けてなかったのかしら

ああ、そうね大丈夫。
だって私には
婚約指輪があるもの

ごぽり残りの空気を吐き出した。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ