tennis
□君の手のひら。
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hiroin side
冬のある放課後。
私はもうすぐ部活が終わる彼氏を待っていた。
『…今日も寒いなぁ……』
ぴゅう、と冷たい風が頬を撫でる。
私は白い息を吐いた。
「愛美っ!」
パタパタと慌てて走る私の彼…
忍足謙也君です。
「スマン!待ったやろ?」
『ううんっ、全然!』
私はブンブンと左右に首を振った。
…本当は20分位待ったけど、あまり謙也君に心配をかけたくない。
「ホンマか?」
謙也君は私を上目使いで見てくる。
『ホントだよ。』
「……なら」
にっと笑うと謙也君は、私の頬を大きな両手で挟んだ。
『……!?けんりゃきゅんりゃりふんの〜!(謙也君何するの〜!)』
「アホ。嘘ついたって無駄や。こんな冷たなるまで……待っててくれたんやろ?」
くしゃっと嬉しそうに微笑む謙也君。
彼の笑顔はまるでおひさまみたい
自分だってずっと部活やってて、寒かったくせに……
その証拠に、鼻が赤いよ?
心の中で呟いてから、私も思わず顔がほころぶ。
『平気だよ。謙也が笑ってくれるから^^』
ふにゃりと笑う私。
謙也君
が笑ってくれてるおかげで、
私の心も温かくなれるから。
「!!//………愛美。」
私は謙也君に名前を呼ばれる事が嬉しい。
一回一回にドキドキするし、胸がきゅううって苦しくなるから。
『…どうしたの?』
私が謙也君の顔を覗き込むと、謙也君は顔を真っ赤にしていた。
「…手…手ェ繋いでも…ええか?」
『?い、いいよ…//』
きゅう…っと指を絡める
手から指先、指先から心へと謙也君の手の温かさが伝わって来る。
『謙也君の手……温かいね』
「…俺は愛美がいるだけで、あったかいで。」
『本当…?』
「ホンマやっちゅーねん
ほな、帰ろか。」
『うんっ』
私達はお互い見つめて笑い合い、歩き出した。
「愛美」
『なに??』
「…………好きやで。」
『私も……好き。』
君の手のひら。
(貴方がいるだけで、
こんなにも幸せ。)