響命

□笛の音
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聞こえる

聞こえる

これは
笛の音


海に浮かぶ
鉄の塊から響いてくる

低く 長い

笛の音


かつて

兄は
父は
弟は

御国のためと
手を振って

笑顔で
汽笛に吸い込まれた

鉄の塊と一緒に
海の底



あれから幾年過ぎようと
あの音は変わっても


孫が
息子が
義息子が

相も変わらず
手を振って
愛する人に見送られ



嗚呼
帰ってきた
帰ってきた

あの忌まわしい汽笛と一緒に


あの忌まわしい記憶と一緒に


帰ってきた
帰ってきた
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