マギ

□刹那、君のそばで。
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「好きだから…」

「わたしも…っ」


2人は抱き合う。


そして2人の影が
夕焼け空の下
重なった。

あたしに言って欲しかった。








そんなことがあったな
…と切なくなるくらい
綺麗な夜空に呟いた。

お姉ちゃんはジュダルと
恋人同士。
あたしはその彼女の妹。

あたしがジュダルのこと好きなんて
考えたこともないだろうな。


あたしのほうが片想い歴長いのに。

神様は最低だ。

だからと言ってお姉ちゃんは恨んだりしない。

あたしの大切な家族だから。

たった2人の。





母さんと父さんは死んじゃって
あたしとお姉ちゃんだけになった。

そんなことがあっても
お姉ちゃんはあたしを守ってくれた。

だから、この恋は諦める。



……はずだったのに。



「なぁ!名無しさん!」


「な、何?」

久しぶりに話しかけられて
少しドギマギしてしまう。


「ぁ、あのさ…」


もじもじするジュダル。

あぁ、お姉ちゃんのことか。


だけど

「好きな…やつ、いるのか?」


あたしは停止してしまう。

あたし?あたしの好きな人?


お姉ちゃんは…?


「ぁーごめん、いきなりすぎだょな。」


ははは、と笑うジュダル。


「いるよ」


そう答えるとジュダルは
え…っと固まった。


少し期待していいのだろうか。


あたしは少し嬉しくなった。



「あ、うん、そんだけ。じゃぁな」


「うん。」


ジュダルが変だ。


ジュダルが歩いて行ったほうに
足を進めた。











ずいぶん歩いて、王宮内に居た。


柱からコソッと見ると
お姉ちゃんとジュダルが居た。


何を話しているかわかないけど
お姉ちゃんは笑って
ジュダルは真っ赤。

やっぱり。期待しちゃダメだ。



すると
お姉ちゃんとジュダルは
何回も口ずけを交わしていた。


見てられない、そう思っても
足が動かない。

ガクガクしている。


最終的に大人の口ずけを交わしていた。



涙がでる。どうしよう、止まらない。


誰かっ‼



「名無しさん?どうした?」


後ろに居たのは
モルジアナとアリババだった。


安心したのか
足の力が抜けて
目の前が暗くなった。








目が覚めるとあたしの部屋。


あのことがパッと頭に浮かぶ。

「ツライよ……」

大粒の涙が
ぼたぼたと落ちて
手の上に落ちていった。


あたしはまだ子どもだった。

ジュダルやお姉ちゃんは
オトナなのに
あたしは子ども。


まだお姉ちゃんにすがるしかできないんだ。



……やだよ




そんなの…


諦めないと…



またお姉ちゃんとジュダルの
関係を利用して
甘えちゃうから…


忘れよう




さよなら、ジュダル。


大好きだったよ。


お姉ちゃんはあたしより
ジュダルのこと大好きだと思うから
大切にしてよね。





一瞬でも。嬉しかった。



さよなら。

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