【好機】原作
□棒倒し
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体育祭当日、私達教師は特に何をするわけでもなく、私は日陰で涼んでいた。
今の所、3組ともそんなに得点の差は見られない。
『次の競技は教師による借り人競争です。教師の方々は準備をなさってください』
そして何故かこの競技に出る私。
スタートラインに立ち、一緒に競技をする人達を見る。
全員女の先生で、陸上部の顧問までいる。
勝ちにきてるな〜。
苦笑しながらも、ピストルに合わせてスタートする。
私は3番目に紙の所にまで着き、お題を見る。
【刺青を入れている人】
……そんな人そうそういないでしょ。
そう思いながらもとりあえず客席や保護者席に向かって該当する人がいないかを見渡すが、やはりいない。
諦めようかと思っていたら、見知った顔を見つけた。
「……何でいるの、人……俊希くん」
「かはは。柚希のねーちゃんこそ何やってんだよ」
「教師。ま、丁度いいや。一緒にきて」
「あ?」
「お題、刺青入れた人、なんだよね。いやぁ、俊希くん良い所にきてくれた」
人識くんの腕を取り、ゴールに向かう。
他の人はまだお題の人を探しているよう。
「はい、確かに確認しました」
つまり私は一着でゴールした。
「ありがとね、俊希くん」
「別にいいぜ。けど、そろそろ家に来てくんね?兄貴がうるせーんだよな…」
「双識さん?私あの人ニガテ。でもそろそろ顔は出そうかなと思ってたところだよ。だからちゃんと家に帰りなさい」
「へいへい」
手をヒラヒラとさせて去っていく人識くんを見送り、教師用のテントに戻ろうとすると、リボーンに呼び止められた。
「柚希。今のは誰だ?」
「ん?有名進学校に通う後輩だけど?」
それが?と聞くと、リボーンは訝しげな顔をして
「アイツから血のニオイがしたんだが………気のせいだったか」
そう言った。
私はドキッと一瞬動揺したが、幸いにもリボーンは気づいていないらしく、綱吉の所に行ってしまった。
「……まさかこの町で殺ってないよ…ね?」
可能性は大いにあるので、冷や汗を掻く。
多分、リボーンとかは裏世界の事を知っている。
その強さも。
だからあまり私が裏世界に関わっている事は知られたくはない。
裏社会にいる人で、その事を知っているのはシャマルだけだから、アイツが口を滑らせない限り大丈夫だとは思うが、やはり気軽には会いにけなくなるだろう。
しかもこれからもっと忙しくなるんだから。
『棒倒しの問題についてお昼休憩をはさみ審議します。各チームの3年生代表は本部まできてください』
あぁ、やっぱりリボーンは何かしでかしたみたいだ。
面倒だな、と思いながら本部の方に私も足を向けた。