【好機】原作2
□Ver.アップ
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ボンゴレリングのVer.アップはタルボさんに任せることになり、綱吉達は体を休めることになった。
群れ嫌いの恭弥は勿論綱吉達と一緒の部屋に行くはずもなく、隣の別室に移動していた。
私はどちらに行くか迷ったけれど、恭弥のいる部屋に行くことにした。
「怪我は?」
「大丈夫だよ」
「プライドはズタボロ」
「まあね」
やり返さないと気が済まないという恭弥に苦笑いが零れる。
「お嬢ちゃん、いいかのう」
「タルボさん?」
扉を開けて中に入れるようにするが、タルボさんは入ってこない。
「ここでええ。お嬢ちゃん、あの坊主にこれを渡してくれんかのう」
そう言ってタルボさんが私に渡したのは岩。
「これが……ボンゴレリング…?」
「そうじゃ。だが、これはボンゴレリングが生まれ変わる一歩手前の状態じゃ」
「一歩手前……?」
「あぁ。わしができるのはここまでじゃ。こいつらを仕上げるのはあの坊主達の仕事よ。新しいボンゴレリングの骨格はもうできておる。だが魂はまだこの中に眠ったままじゃ。坊主達が魂を呼び覚ますのじゃ」
「……つまり、死ぬ気の炎をこれに注ぎ込めって事ですか」
「一発勝負のな」
失敗すればそれで終わりってこと。
「生半可な覚悟ではまず失敗するぞ。少なくとも今持てる最高の炎を灯さなくてはシモンリングに太刀打ちできぬどころか、ボンゴレリングは死ぬ」
「でしょうね。それで、綱吉達からアニマルリングも回収してましたけど、そのアニマルリングはどうなるんです?」
「Ver.アップに失敗すれば7³のバランスも崩れ、未曽有の事態になることも考えられる。当然、坊主達のアニマルリングもポンッじゃ」
受けとったボンゴレリングの岩を見ながらふーんと相槌を打つ。
「それじゃ頼んだぞ」
「分かりました」