好機逸すべからず

□幼少編1
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5歳の夏、とうとう来た。



誰が?




ボンゴレ\世が。





「やぁ、君が柚希ちゃん、かな?」




「うん!おじいちゃんはだぁれ?」





出来るだけ無邪気を装って問いかける。




「私はティモッテオ。ティモと呼んでくれたまえ」




「ティモしゃん?」




「そうだよ」




「9代目。わざわざご足労ありがとうございます」





お父さんがそう言ってティモさんに頭を下げた。




「いいんだよ、家光。貴女が…奈々さんですな?」




「はい。いつも主人がお世話になっております」





「私の方こそ世話になっとるよ」





家の前ではあれなので、と家の中に入っていく。




どういう、事なんだろう。
やっぱり私は『沢田綱吉』のポジションを奪ってしまった?
いや、それは違う。





生まれ持った(別に持ちたくもなかったけど)超直感で、自問自答を繰り返す。





「9代目、柚希の事ですが…」




「うむ。分かっておる。女の子だからできれば巻き込みたくはないが…」





静かに首を横に振るティモさん。
それを見て悲しそうな表情をするお父さん。




「そうですか…」




「おとーさん?」




「柚希ちゃん」





ティモさんが私をゆっくりと抱き上げ、目線を合わせてきた。





「もしかしたら、君に重大な役割をしてもらうかもしれん」





それはつまり、ボンゴレ10代目を継ぐって事?





「すまない。巻き込みたくはないんだがな…」




身勝手なティモさん、それにお父さんに文句を言ってやりたくなった。





こんな小さい子に血生臭い話するなよ




多分この人達は私には理解出来ていないだろうから話しているんだろうけど、しっかり理解してるからね、私。
それに、お父さん。

あんた、娘を犯罪者にならせるなよ。






「ご飯、出来ましたよ」




お母さんが私達を呼びに来た事によって、その話は中断された。





その日の夕飯は豪華だったけど、味はよく分からなかった。






 
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