好機逸すべからず 番外編

□ER3に行くことになりました
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久々に直からの呼び出しがあったと思ったら、何故か辺鄙な場所に呼び出された。


「何したの。直が隔離されるって、相当の事でしょ?」


「あぁ、やっと来ましたか。高貴な私の高貴な親友の柚希」


「質問に答えてくれる?」


相変わらずのマイペースとも取れる直に、ため息を吐きたくなる。


「えぇ、とある少年を庇いまして」


「……とある少年…?」


「玖渚機関に弓を引いた勇気ある少年ですよ」


クスリと笑う直。
どういうことだと直に視線をやるが、直は話す気はないようで自分の話を進めようとする。
だから、前世での知識を生かして喋ってやった。


「妹ちゃんを完膚なきまでに壊されて、何もしないんだ?」


「………どこで知りました?いえ、どこまで知ってるんです?」


「さあ?知ってる事は知ってるし、知らない事は知らない」


ニヤリと笑って言ってやれば、直は暫く私の方を見ていたが、目を逸らした。


「分かっているのなら話は早いですね。ER3に行って来ていただけませんか?期間は問いません」


「……理由を問おうかな」


「単純に気になるのですよ。あの少年の事が」


「気になる、ねぇ…」


戯言遣いとはどこかで関わる事になるとは思っている。
けれど、ここではない、ような気がするんだけれど。


「……分かった。行ってくるよ」


「いいんですか?」


「基本、親友の頼み事は断らない質だからね。でも長くても2,3ヶ月だからね」


「構いません。では、頼みますよ」


「はいはい」


あまりここに長居してはいけない。
なんせ侵入したからね。
だからさっさとこの場を去ろうとした。


「あ、そうそう」


振り返り、


「死ぬなんて選択肢、直にはないから」


そう言ってその場を後にした。







「―――――全く、高貴な私の高貴な親友は、どこまで知っているんでしょうか。分かっていますよ。貴女には多大な恩があります。それを返す前に死ぬだなんてこと、この高貴な私がするはずがありません」
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