【好機】原作
□ポイズンクッキングU
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今日の仕事はひと段落して(単に疲れたからやめただけだけど)、並盛神社に気分転換に来てみると、暗い表情の隼人くんを見つけた。
「どうしたの?隼人くん」
「お、お姉さま!!お見苦しい所を見せてしまい、すみません!!」
土下座しそうな勢いの隼人くんを何とか宥める。
兎に角話を聞こうとすると、綱吉がやってきた。
「ね、姉ちゃん!?あ、獄寺君…」
恐る恐る隼人くんに話しかける綱吉。
「あ…あの…ごめんね。せっかくもってきてくれたスイカ…あんなことになっちゃって」
「アネキとは8歳まで一緒に住んでました」
アネキ…家に言った後ならビアンキの事か。
腹違いの姉弟だったか。
「うちの城ではよく盛大なパーティーが行われたんですが、オレが6歳になった時初めてみんなの前でピアノを披露することになったんです」
隼人くんの所属するファミリーは確か、城みたいなところに住んでるって情報があった。
「その時アネキが初めてオレのためにクッキーを焼いてくれたんです。それが彼女のポイズンクッキング一号でした」
うん、隼人くん。
色もおかしいし、ブショアアアなんて嫌な音も鳴ってるんだからとりあえず怪しもうよ。
「後でわかったんですが、アネキは作る料理がすべてポイズンクッキングになる才能の持ち主だったんです」
「どーなってんのソレ!!!」
「もちろん当時クッキーを食べたオレは激しい眩暈と吐き気に襲われ、ピアノの演奏はこの世のものとは思えないものに…」
いや、それよりよく死ななかったね。
「でもそれはほんの序章でしかありませんでした」
まだあるのか。
「そのイカレた演奏が高く評価されてしまったのです」
「ええーっ」
「気をよくした父は発表会を増やし、アネキにまたクッキーを作るように言ったんです」
「うわああ」
「それは…」
ご愁傷様としか言えない。
「その恐怖が体にしみついて、今ではアネキを見るだけで腹痛が…」
悲劇だ…
「うすうす感づいてたけど、強烈なお姉さんだね」
「ええ。大嫌いです」
即答だったね。
でも一番厄介なのって、ビアンキが隼人くんに嫌われてると気づいていない事だよねぇ…
「オレはアネキに近づけません。10代目…アネキをこの町から追い出してもらえないでしょうか」
「ええ!?そ…そりゃあどちらかといえばオレもビアンキがいない方がすごくうれしいけど…でも…オレじゃあ…」
「作戦があります!実はアネキにはリボーンさんに惚れる前にメロメロだった男がいたんです。そいつは事故で死んじまったんですが、未だにアネキはそいつのことが忘れられないみたいなんです」
「つまり、そのビアンキの元カレそっくりな人を探し出せって事?」
「その通りですお姉さま!!」
だからそのお姉さまっての止めてって。
「アネキにそいつを会わせれば地の果てまでそいつを追いかけるはずです」
「またぶっ飛んだ作戦だーーー!!!」
今回ばかりは綱吉に一票だ。
もし見つかったとしても、その人が一般人だったらそんな事頼めないし。
「獄寺君…その作戦にはムリがあると…だいたいそっくりな奴って…」
「これが元彼の写真です」
隼人くんが見せてくれた写真には、10年後のランボと酷似している男が写っていた。