【好機】原作2
□始動、そして脅は……取引
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私が所有するマンションで、軋識にも教えていない部屋がある。
そこは本当に重要な書類をやる所で、今回≪仲間≫と敵対することになるから、ここにきた。
そこに篭ってもう1週間強になる。
「主、わたくしはどうすればよいのですか?」
「憑依にはコイツの所に行ってコレ渡して」
パソコンを操作しながら、封筒を渡す。
「私からだって言えばすぐに見てくれるはずだから、その場で返事貰ってきて」
「御意に」
憑依の気配が消え、代わりに円の気配と濡衣くんの気配が現れる。
「やっほー、ゆーちゃん!あのサイバーテロリストと敵対するんだって!?」
「五月蠅い。何の用」
「ゆーちゃん機嫌悪いね……」
「今構ってる余裕ない」
「ふんふん。そんなゆーちゃんにろーほー!あやたんからなんだけどねー。あやたんが、その企業の弱点、見つけたってっ」
「……見返りは?」
「今度無料で仕事引き受けてくれって言ってたよっ」
「……無料……か。内容によるけど、仕方ないか。教えて」
「あたしはコレ預かってきただけだから!」
満面の笑みで一つの封筒を渡してくれる。
中身を確認すれば、企業の弱点と言うか、“個人”の弱点が記されていた。
確かにこれは使える。
「ありがとうって伝えておいてくれる?」
「りょーかいっ!」
もうそろそろ憑依が帰って来るはずだからついて来てもらおう。
案外早く終わるかもしれない。
「ゆーちゃんわぁるい顔―」
ケラケラと笑う円。
さっき綾が調べたとか言ってたけど、この中には円が調べたことも入ってるはずだ。
「ありがとね、円」
一つ礼を言って、微笑んだ。