【好機】原作2
□欲望
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白蘭があり得ないものを見るような目で骸を見る。
骸は余裕そうに微笑していた。
「骸様の……」
「有幻覚だね」
つい最近あったからそんなに懐かしい気はしないけど、でも何で危険を冒してまでここにきたんだか。
骸が出現させた火柱を見ながらそんな事を考える。
「お久しぶりです沢田綱吉」
「か…髪が伸びてる!!10年後の骸!?」
「で、でもケガとか……」
「綱吉クンと心愛チャンの言う通りだよ、骸クン」
拘束はされているが、全然効いてない。
「僕の部下に憑依した君は、あの時精神ごと消したはずなんだけどな。少なくともこんな幻覚は、もうつくれないほどにね」
「クフフフフ。たしかにあなたの策略にはまり、密閉された空間に閉じこめられた時はもうダメかと思いましたよ。
一人でしたらね」
「ん、あっそっかーーーお仲間に外から穴を開けてもらったのね」
「アレは僕の仲間というには出来の悪すぎる子供ですが」
子供というわりに、結構信頼してるみたいだけど。
「どちらにせよあなたにもらったダメージは、とても大きかったですよ。つい先刻までこんなことはできなかったほどにね」
更に火柱が増えた。
「ハハハ。ダメダメ骸君。これじゃ僕には勝てないよ。いくら本物に近い幻覚とは言っても所詮、君はニセの作り物だ。僕に勝ちたいんなら、少なくとも
復讐者(ヴィンディチェ)の牢獄から抜け出して君自身の肉体で戦わないとね」
まだ本体は復讐者の牢獄の中、か。
私が出してあげてもいいけど、骸が勝手に動いてるみたいだから何も手は貸してないけど。
「クフフフ、ご心配なく。僕が自らの手で直接あなたを倒す日は遠くない」
「ん!?」
「我々はすでに動きだしている…とだけ言っておきましょう。それに今この場では足止めさえできれば僕の勝ちですよ」
それでも大分辛い事は変わりないだろうに。
ポンッと骸の肩に手を置く。
「!柚希さん…」
「無茶はするな。生きて会いに来い」
「分かっていますよ。さあ、大空のアルコバレーノを並盛町へ連れて行くのです。沢田綱吉」
ディーノらにもせかされ、綱吉はこの場を骸に任せることに決めたみたいだ。
「骸!!また会えるのか!?」
「当然です。僕以外の人間に世界を取られるのは面白くありませんからね。
いいですか?沢田綱吉。絶対に大空のアルコバレーノユニを、白蘭に渡してはいけない」
「黙って♪」
白蘭に攻撃された骸の有幻覚が壊れ始める。
「……さあ早く転送システムに炎を」
「わ…わかった……クローム!み…みんな!!」
綱吉の合図で皆がリングに炎を灯し、転送システムに炎を注入した。
同時に光に包まれ、一瞬で並盛神社に移動した。