断じて行えば鬼神も之を避く
□あの子達は天使じゃない
1ページ/4ページ
「『ザ・チルドレン』!!応答しろ、『チルドレン』!!」
ドン!!
とあるビルが大爆発した。
21世紀、エスパーは増え続けていた。
彼らは軍事・外交・経済と、あらゆる場で活躍し国際競争のカギを握っていた。
ESPを制する国が世界を制す!
だが、その才能は貴重で、超度4以上の者は全体の3%以下…
政府と契約している『超度7』はわずか3名のみである。
と、まぁ今の世の中はこんな感じ。
でも、その超度7のエスパー、ザ・チルドレンには少々…いや、かなり性格に問題がある。
「あーらら。またハデにやっちゃって」
片手を眼の上に翳し、口笛を吹く。
「そんな呑気な事言ってる場合じゃないでしょう!小鳥遊さん!!」
「そうは言ってもね、私の仕事は彼女たちの教育。現場運用主任はあなただよ、皆本くん。」
2年程前、チルドレンに気に入られてしまった私は、チルドレンの教育係りに任命されてしまった。
「それより皆本くん。アレは放っておいたら流石に犯人死ぬよ?」
私が指差した方を見て、皆本くんは顔を真っ青にさせた。
そりゃそうだろう。
だってそこには薫ちゃんが高級車と思われる車をサイコキネシスで持ち上げ、今にも犯人を潰してしまいそうになっているんだから。
「やめろーーーっ!!」
ピッと薫ちゃんのESPリミッターを制御する皆本くん。
途端に高級車は地面に落ちた。
「あきらめろ!!」
皆本くんが犯人にエスパー錠をつけた。
「これでもう超能力は使えない!おとなしく法の裁きを―――」
「なんでジャマすんだよ、皆本ーーーッ!!」
「ぶッ!?」
薫ちゃんが皆本くんに蹴りを入れた。
「ウチらが追いつめた獲物やで!?」
「最後のオイシイとこ横取りすんなよなーーーーーーー!!」
「そーゆーもんだいじゃないだろっ!?君たち犯人殺す気か!?」
「殺すなんて………!!ただ…
足腰立たなくなるまでボコボコにすれば、テレポートする気もなくなるでしょ?」
しれっと言い放つ紫穂ちゃんぶ、犯人は訴えてやると煩い。
「あんなハンパな能力でええ気になったるアホには、本物のESPをたっぷりと教えといてやらんとな!」
「特務エスパーの仕事は遊びじゃないぞ!人命救助に犯罪捜査―――どれも危険で重要な任務ばかりだ!ルールに従えないなら……」
「ルールぅ!?」
薫ちゃんがESPリミッターを外した。
「ルールに従えなかったら、どーだっつーの!!」
「はうあッ!?」
ミシミシと壁にめり込んでいく皆本くん。
うん。凄く痛そう。
「普通人が偉そーに!!文句あるならいつでも勝負してやるぞーー!?」
「やめなよー薫ちゃん。」←棒読み
「それって弱い者いじめやでー。」
2人は止める気があるのかないのか(多分ないと思うが)、一応薫ちゃんに声をかけていた。
「小鳥遊さん!見てないで助けて……っ!!」
「……薫ちゃん、そろそろやめよーか」
「はーい!」
「(このクソガキ共!何で小鳥遊さんの言う事は聞くのに、僕の言うことは聞かないんだ!?)」
「それは渚さんにはいっぱいお世話になってるからよ」
またまたしれっと言う紫穂ちゃんの声は皆本くんに届いているのかいないのか。
ガックリと項垂れる皆本くんを、薫ちゃんがサイコキネシスで運ぶ。
「行こっ、渚はん。」
「行きましょ?渚さん。」
紫穂ちゃんと葵ちゃんに腕を引かれ、バベル本部へと帰っていった。