断じて行えば鬼神も之を避く
□天使で悪魔
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夜のとあるガソリンスタンドにて。
「ガソリン、オイルその他可燃物は全て撤去。周囲の道路は通行止め……これで火災が起こるはずありませんよ、皆本主任!!」
「ええ……僕もそう思いますが――本部の事故予知部によれば5分後にここは炎上します。その確率は86%……!!」
「その数字に変化はありません。警戒しておくのが普通ですよ。」
そう伝えるが、消防士は未だ納得していない様子。
「超能力のお告げねぇ…。私らはそれで何度も空振りを――――」
ゴ…オォン
ゴォオオオォ…ン
「………!?この音は?」
「! 皆本くん、上!!」
上を見上げれば、飛行機が此方に向かって落ちてきていた。
「!!こ……こっちに来る!?全員、非常時に備えろ!!あれが予知の正体か………!!」
『なにやってんだ、皆本ーーっ!!モタモタすんなっ!!あたしたちの出番だろ!?こっちゃ、待たされ続けてアキアキしてんだ!!とっとと始めねーと、帰っちまうぞーーーーッ!!』
皆本くんの無線から、薫ちゃんの声が大音量で聞こえてきた。
私にまで聞こえるって、どれだけ大きな声出してるの、薫ちゃん。
「特務エスパー『ザ・チルドレン』…解禁!!」
三人のリミッターが解除された。
「念動(サイキック)ーーー!!空中強制停止(エア・ポインティング)!!
よし、行けッ!!葵ッ!!」
薫ちゃんの合図で、葵ちゃんが紫穂ちゃんを連れて操縦席へとテレポートする。
『心臓のけいれん発作よ!まだ生きてるけど手当を急がないと…………!!脳の酸素がなくなりかけてる!』
「よし、いいぞ!!」
「……」
喜ぶ皆本くんだが、まだ予知パラメーターが変化していない。
「あっ、コラ!?何を……」
「いーじゃん!人助け人助け!!」
「え゛…」
薫ちゃんがパイロットの人の所にいた。
いや、別にそれはいいんだけど、薫ちゃん絶対に大事な事忘れてるよね?
「念力で直接心臓マッサージすんだよ!いっぺんやってみたかったんだ!」
「ESP応用訓練で教わったやっちゃな!」
「面白うそう!!」
「ダメだ、救急隊にまかせろ!!命令―――」
「命令命令って…………
うるさいんだよッ!!」
「はゔっ!!」
何時もなら放っておくけど、今回ばかりはそうもいかない。
「薫ちゃん!今は皆本くんの言う事を聞きなさい!!」
「んだよ、渚ちゃんまで…。大丈夫だって!!
とゆーわけで念動(サイキック)ーーー心臓マッサージ!!」
「!! 心拍、正常に復帰!!すごい……!!これなら助かる―――!!」
「…な?ちゃーんと――――」
「ちがうっ!!」
「薫ちゃん、飛行機の事忘れてる!!」
「あ。」
今気付いたのか、しまった、という顔になる薫ちゃん。
でも、もう遅い。
飛行機は落ち、周りに多大な被害を出してしまった。