断じて行えば鬼神も之を避く
□ハート・ブレイカー
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「スパイ狩り、ですか。」
休みも終わり、さぁ頑張ろう、と意気込んで(はいないけど)研究室に向かっていると、局長に呼び出された。
「うむ。我々が疑っているのは九具津隆だ。」
「疑いたくないんですけどね。」
「へぇ〜」
渡された資料に目を通し、九具津さんの能力を確認する。
人型の依代に意識を焼きつけて念動力(サイコキネシス)で操る、ね。
意識を焼きつけるのは凄いけど、それだと嗅ぎつけられる可能性もある。
てか、嗅ぎつけられるでしょ。
それに、私の豚人形(ピッグマリオン)≠フ方が完璧。
「それで、局長は私に何をしろと?」
「話が早くて助かるヨ。実はだネ、小鳥遊クンにも協力してもらおうと思ってるんだヨ…!」
「はぁ…」
「皆本さんが既に賢木先生と動いてくれています。頼めませんか?小鳥遊さん。」
「まぁ、別にいいですけど。あの子達に知られたらダメなんですよね?」
あの子達、とは勿論チルドレンの事で。
「うむ。チルドレンはまだまだ子供だヨ。こんな汚い仕事にはあまり付けさせたくなくてネ。」
「分かりました。なら、今から皆本くんのとこへ行きますんで。」
「頼んだヨ!」
分かってますよ、と言って皆本くんを探しにB.A.B.E.L.内を歩く。
「サイッテー!!」
とある医務室から女性がそう叫びながら飛び出してきた。
この部屋は…
「同期入局の若き天才同士、もちょっと仲良くしてくれても良さそーなものを!」
「私から見たら、賢木くんは天才ってよりスケコマシだよ。」
「ぅおっ!?渚ちゃん!?」
「小鳥遊さん!休暇は終わったんですか?」
「うん。それで、私もやる事になった。」
何を、とは言わずに伝えると、2人とも分かってくれたらしく、一瞬だけ神妙な面持ちで頷いた。
「っと、で、何よ?明日のことで何か?」
「いや、それが…ちょっとマズいことに―――『ザ・チルドレン』が僕の行動に興味を持ったみたいなんだ。ヘタするとあとをつけてくる可能性がある!」
「たしかか?」
「あいつらのやりそーなことだからな。ダメと言われておとなしく引き下がるようなら苦労してない。」
同じ所に住んでて、尚且つ紫穂ちゃんは超度7の接触感応能力者。
バレない方がおかしい。
「だからって中止はできない。明日はこれまでとはわけが違うぞ。なにせ相手は超本命の強敵…!!
我がバベルの看板娘、デートの約束は半年待ち!!美人エスパー受付嬢チームとの合コンなんだからなッ!!」