断じて行えば鬼神も之を避く
□荒野のエスパー
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西エイジア某国――
「ふぅん。それで?目撃者は。」
「全て抹消いたしました、君臨者(レイン)。」
椅子に深く腰掛け、目の前で跪いている人物から窓の外に視線を移す。
「アーレ・ルギアの中枢部にデータがあるとの事。如何いたします。」
「……」
「必要とあらば、自分が。」
「謀々発死(バタフライスパイ)≠オか持ってないお前にはきついよ。ご苦労様。今すぐこの国から出て次の任務につけ。」
「御意。」
すぐにこの部屋からいなくなった人物の気配が完全に消えたのを確認し、私も部屋から出る。
「チェックアウトですか?お客様。」
「はい。急ぎの用事が入ってしまいまして。快適に過ごせました。ありがとうございます。」
「それはよかったです。またのお越しをお待ちしております。」
眠気ざまし(ネームケイト・ザ・マシンガン)≠使い、従業員の記憶から私が来たという記憶を消す。
「さて、と。どっちみち今日アーレ・ルギアはなくなる。だったら私が何かしなくても情報が他に漏れる事なんて……」
「いいじゃん♡好きなだけ殺し合えばいい。誰が何億人死のうが、僕らの知ったことか?」
「ゲ、」
「ん?渚?何でここに…」
アーレ・ルギアが滅びるのはコイツの所為か…!!
一瞬にして事態を把握し、すぐさま逃げようとするが腕を掴まれ失敗に終わる。
「放してくれると嬉しいんだけどね、兵部。」
「そうだね。君が何でここにいるのか話してくれたら考えようかな。」
「チッ」
舌打ちをして腕を振りほどく。
「兵部には関係ないでしょ。それより、やっぱりネオ・クリア原料を奪ったのはあんただったってわけだ。」
「まぁね。皆本に話すか?」
「話さなくても気づいてはいるでしょうね。証拠が無い事が証拠にはならないとか言ってそうだけど」
「くすくす。確かに、皆本ならそう言いそうだ」
楽しそうに笑う兵部に文句を言おうと口を開くが、
「お兄ちゃん達外国の人?」
1人の、薫ちゃんにそっくりな少女を見て、開いた口を閉じる。