好機逸すべからず 番外編
□とある休日の一コマ
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「少年はさ、何であの時あんな恰好で外にいたの」
「……」
白蘭のケーキを食べる手が止まった。
「……僕の家さ、そこそこゆうふくなんだよね。だから、かな。息ぐるしくなるんだ。あの時あの場所にいたのはたまたまだよ。親にはんこうして家を飛び出したときに、たまたま柚希お姉ちゃんに会ったんだ」
これって運命的かな?
そう嘯く白蘭にデコピンをしてやる。
「息苦しい…ねぇ」
「柚希お姉ちゃんは感じたことない?」
「ないよ。毎日充実して、生き残るために必死必死」
ヒラヒラと手を振って何でもないように言う。
「生き残る…」
「気にしなくていいよ。それより、さっさと食べて、さっさと…」
帰りなよ、と言おうとしたけど、白蘭の寂しそうな表情を見て口を噤んだ。
「そんなにこの世界が嫌い?」
「え?」
「少年が思ってるより、案外楽しいよ。人生何があるかわからないんだからさ、それを楽しめばいいんだ。ゲームだとか思っても構わないし」
言って、しまった、と思った。
これじゃあ原作の白蘭に近づけてしまったも同然だ、と。
でも言ってしまったものはどうしようもない。
諦めて、未来の綱吉に謝っておいた。