好機逸すべからず 番外編
□とある神の独白
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「おーい!」
「あ?何だよ」
「何だよじゃねーですって。もう新年始まるっすよ?」
「もうそんな時期か?」
おれ達神は新年、人間の願い事を聞きに行かなくてはならないという面倒な仕事がある。
持ち場に行けば、やはり多いのは受験生の声だ。
(あの高校に受かりますように)
(今度こそあの大学に受かる!!)
神(俺)に頼らずに自分で努力しろっての。
(神様ってのがいるなら…)
聞こえてきた沢田柚希の声に、俺は驚いて動きを止める。
(この世界に転生させてくれてありがとう。色々あったけど、幸せに暮らしてます)
そう言う沢田柚希の左薬指には指輪がはまっている。
相手は勿論隣にいる零崎軋識だ。
正直、結婚式では泣きそうになった。
というか、これからは沢田柚希ではなく、式岸柚希になるんだったか……ん?
(俺は正直神様なんて信じてねーが、柚希に出会わせてくれてありがとう)
お前…礼を言うキャラじゃねーだろ。
てか、信じてねーのかよ。
「……ったく」
幸せに微笑む2人。
「末永くお幸せに。2人の未来に幸あれ」
俺(神)からの祝福を受けたんだから、ちゃんと幸せになれよ?
とある神の独白
「柚希のねーちゃん!大将!!屋台見て回ろうぜ!!」
「柚希お姉ちゃん軋識お兄ちゃん!早く行きますよう!」
「はいはい。軋識、行こっ」
「あぁ。行くっちゃか」