【好機】原作
□入院
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その日、綱吉はディーノさんに呼び出されて森の方へ行ったことは知っていたが、まさか入院するまで大怪我を負って帰って来るとは思ってなかった。
しかも恭弥まで入院してるって哲也くんに聞いたし……
「取り敢えず、お見舞い行くか」
見舞い品なんてもっていかないけど。
並盛病院に行き、綱吉の部屋を聞くと、何故がナースさんは引きつった表情で案内してくれ、部屋の前まで来るとそそくさと逃げるように去って行った。
何故あんな行動をとるのか、首を傾げながら扉を開けると、直ぐに原因が分かった。
「相部屋になった人には、ゲームに参加してもらってるんだよ。ルールは簡単だ。僕が寝ている間に物音をたてたら、咬み殺す」
「一方的ーーっ!!?」
「恭弥、それは何でも横暴すぎるよ」
「って、姉ちゃんーー!!?」
「やあ、柚希さん。お見舞いに来てくれたのかい?」
「まぁね。弟のもかねて。見舞い品何て持って来てないけど」
ヒラヒラと手を振って言うと、期待してなかったよ、と返された。
「ね、姉ちゃんヒバリさんと知り合いなの!?」
「風紀委員の担当してるんだよ、私が」
「えぇーーー!!?」
驚く綱吉に、病院なんだから静かにしろと頭を叩く。
「あ、あの僕もうすっかり良くなったんでたっ…退院します!!」
恭弥に恐れをなしたようで、綱吉は真っ青になりながらそう言うも
「だめだよ、医師の許可がなくちゃ」
院長がいきなり後ろに立って、そう言ったために綱吉の退院は却下された。
「やあ院長」
「え゛いんちょー!!?」
「こうして安心して病院を運営できるのもヒバリ君と沢田さんのおかげ。生贄でもなんでもなんなりとお申しつけください」
ペコーッと頭を下げた院長。
その院長が言った言葉に、へーとこぼす。
「恭弥、ちゃんと病院も掌握したんだ」
「当たり前だよ。そうしろって言ったのは柚希さんだろ?」
「まーね」
「何か物騒な会話してるーー!!」
綱吉、ツッコミもいいけど、いい加減五月蠅い。
「じゃあそろそろ寝るよ。ちなみに僕は葉が落ちる音でも目を覚ますから」
「なっ」
「それでは失礼します」
「それじゃあ私も帰ろうかな」
「え゛!!」
懇願するような目で見られたけど、知らない。
そのあとさらに綱吉が重症になったらしいけど、知らない。
病院内から出ようとすると、隼人くんが担架で運ばれているのが見えた。
「……何あの出血の量」
倒れて当然でしょ、と呟きながらこれ以上ここに居たら面倒になりそうなので、早々に退散させてもらった。