【好機】原作

□零崎家
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リボーンがイタリアに用事で帰って、綱吉達も遊びに行くということで、久しぶりに京都に遊びに来た。
勿論手土産(人識くん用)を持って。


ピーンポーン


「やあ柚希ちゃんいらっしゃい!!あがってあがって」


「久しぶり、双識さん。お邪魔します」


リビングに行くと、人識くんが何故か縄で縛られていた。


「柚希のねーちゃん!!助けてくれ!!」


「……双識さん…?」


「ん?いやあ、人識くんが何度も逃げようとするから、縛ったんだよ」


「……とりあえず、解いてあげて」


人識くんが不憫で仕方ない。


「ったく、兄貴の奴……」


ブツブツ文句を言いながら手首を擦る人識くんに、手土産であるケーキを渡した。


「!!くれんのか!?サンキュー柚希のねーちゃん!!」


早速食べるのか、食器棚からお皿とフォークを取り出してくる人識くん。


「あ、柚希ちゃん。アスは今出かけてるんだけど、呼び戻すかい?」


「え?あ、いいや。待ってれば帰って来るだろうし」


多分、友ちゃんのとこに行ってるんだと思うし、邪魔するのはちょっと……


「そうかい?あ!折角柚希ちゃんが来てくれたんだ!今日は夕食は私が作る事にするよ!!」


「んな!!!」


人識くんがこの世の終わりともいうような表情で双識さんを見る。

え、そんなにヒドイの?


「あ、兄貴。ちなみに何つくんだよ」


「勿論カレーだよ?」


瞬間、人識くんは私にしか聞こえない声量で


「頼む柚希のねーちゃん!兄貴のカレーはこの世の物とは思えないほどまずいんだ!!」


「そんなに…?」


「救急車は絶対に必要になるぜ」


「うん、止めようか」


救急車が必要って、どんだけ酷いんだ。
ビアンキ並…?


「そ、双識さん」


「ん?何だい柚希ちゃん」


「せ、折角だから今日は私が作るよ。双識さんには次の機会に作ってもらいたいなーなんて」


「ふむ。柚希ちゃんの手料理か。それもいいね。じゃあ頼んでもいいかい?」


「むしろやらせてください」


双識さんの許可も取れたので、冷蔵庫の中を確認する。
冷蔵庫の中には粗方揃っていたけれど、調味料が切れかかっていた。


「……人識くん」


「何だ?」


「ちょっとスーパー行って来て」


「えー」


「何なら双識さんに代わっても…」


「行ってきます!!」


いる物が書かれた紙と財布を持って、一目散に家を出て行った人識くんの反応を見て、双識さんのカレーの酷さが少しわかったような気がした。
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