【好機】原作
□懐かしいあの子
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この頃、フゥ太が家に帰らなくなった。
風紀委員が何者かに襲われている。
「……骸、か」
8年ほど前に出会った私が名前を付けた少年を思い出し、どうしようかと椅子に凭れ掛かる。
骸の過去は一方的に知っている。
20年以上も前の事だけど、結構印象的で覚えているのだ。
「………会いに、行こうか」
骸は私のことを覚えてくれているんだろうか。
覚えてなくても仕方の無い事だけど(小さかったし)、それでも覚えてくれてるといいな、なんて思いながら黒曜ランドへと足を向けた。
黒曜ランドに着き、とりあえず気配のする方に進んでいると、何かが私を襲ってきた。
「、」
飛び退いてそれを避け、襲ってきた人物を見る。
「なんら?お前」
黒曜の制服を着た少年が何か歯のような物を持って私を睨んでいた。
「犬。何してるの」
「お、柿ピー」
眼鏡の少年が現れた。
この少年も黒曜の制服を着ているということは、骸の仲間、か。
ということは最初の少年は城島犬で、眼鏡の少年は柿本千種。
「侵入者?」
「あ、オレの獲物だかんな!!ライオンチャンネル!!」
歯をつけると、犬くんの容姿がみるみる変わり、ライオンのような姿になる。
「いったらきー!!」
「んー、猪突猛進?」
最小限の動きでそれを避け、足を引っ掛けて犬くんをこかす。
「!」
それを見て千種くんがヨーヨーを構える。
「骸に会いにきたんだけど、会わせ…」
「るわけない」
「だよねー」
「柿ピー!オレの獲物らって!」
「犬。ナメてたら殺られるよ」
「!!」
千種くんの言葉に犬くんは先程までなかった警戒心を持つ。
戦闘モードに入った2人にため息を吐き、仕方がないと苦笑する。
「おいで」
少し挑発すれば、2人は簡単にノッてくれて私に攻撃を仕掛けてきた。